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取適法の対象取引とは?5種類の取引類型と適用条件をわかりやすく解説


注意事項

・本記事は公開時点の情報に基づいています。法令・制度変更等により内容が変わる可能性があるため、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

・記事内の画像はイメージです。実際の商品・サービスとは異なる場合があります。

企業がビジネスを行う上で、発注や受注といった取引は日常的に行われていますが、そこには力の差が生まれることが多々あります。

発注側の立場が強くなりすぎると、無理な納期や不当な値下げを受注側に押し付けるといった問題が発生しやすくなります。

こうした不公平な取引を反映させ、経済全体の健全な発展を目指すのが、2026年1月1日に施行された中小受託取引適正化法(通称:取適法)と呼ばれる法的枠組みです。

物流業界への規制強化や対象事業者の拡大を含む法改正のため、多くの企業にとって無視できないテーマとなりました。

この記事では、初心者の方にも理解できるよう、取適法の基礎から対象となる取引の判断基準、そして2026年改正の重要ポイントまでを網羅的に、かつ詳細に解説していきます。

【目次】

取適法とは?基本をわかりやすく解説

「そもそも取適法とは何なのか、いまいちよくわからない」とお悩みの方も多いでしょう。

ビジネスの現場ではコンプライアンス(法令順守)の重要性が叫ばれていますが、その中でも取引の公正さを守るためのルールは非常に複雑で、専門用語も多く飛び交っています。

ここではまず、取適法という言葉が何を指しているのか、なぜこの法律が必要とされているのか、そして類似する法律との関係性といった基礎知識について、背景事情を交えながら丁寧に解説します。

取適法は何の略?正式名称と読み方

取適法(読み方:とりてきほう)は、正式には「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」という名称です。

通称を「中小受託取引適正化法(略称:取適法)」といいます。

下請代金支払遅延等防止法(通称:下請法)が改正され、法律の題名が取適法に変更になったほか、適用対象・義務・禁止行為などさまざまな点が変更されました。

今回の記事における取適法とは、2026年1月1日に施行された改正規定(物流の適正化や従業員要件の追加など)を含んだ、事業者間の取引適正化のための新しい法的ルールのことを指します。

もし「取適法とは何の略ですか?」と聞かれた場合は、厳密な一つの法律名ではなく「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」の略称であると理解しておきましょう。

参照:e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(題名、附則第一条)」

参照:公正取引委員会「中小受託取引適正化法テキスト」

法律の題名・用語の変更

下請法から取適法の法改正に伴い、法律の題目や用語が以下のように変更になりました。

項目 旧名称(従来の下請法) 新名称(取適法)
法律名 下請代金支払遅延等防止法 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(通称:取適法)
発注側 親事業者 委託事業者
受注側 下請事業者 中小受託事業者
代金 下請代金 製造委託等代金

参照:e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(第二条)」

取適法の目的と背景

取適法の目的は、「受託取引の公正化・中小受託事業者の利益保護」です。

参照:e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(第一条)」

日本の産業構造は、大企業を頂点として、その下に中小企業や零細企業が何層にも連なるピラミッド型の特徴を持っています。

この構造下では、どうしても仕事を発注する側の立場が強く、仕事をもらう側の立場が弱くなりがちです。

その結果、以下のような問題が常態化してきました。

  • 納品したのに代金がなかなか支払われない。
  • 原材料費が高騰しているのに、従来の安い単価のまま据え置かれる。
  • 発注者の都合で、急に注文をキャンセルされたり、返品されたりする。
  • 「協力金」などの名目で、不当にお金を徴収される。

こうした行為は、立場の弱い中小事業者の経営を圧迫し、最悪の場合は倒産に追い込むことさえあります。それは日本経済全体の停滞にもつながります。

そこで、国は法律によって、やってはいけないこと(禁止事項)と、やらなければならないこと(委託事業者の義務)を明確に定め、違反した場合には厳しいペナルティを課すことにしたのです。

さらに近年では、働き方の多様化によるフリーランスの増加や、物流業界におけるドライバー不足と長時間労働問題(いわゆる「2024年問題」)が深刻化しています。

従来の法律だけでは対応しきれないこれらの現代的な課題に対処するため、2026年の改正を含め、規制の網がより広く、より細かく張り巡らされることになりました。

弁護士・南 陽輔のコメント:
物流の業界では、本文で挙げられている2024年問題に加え、2026年4月に施行される改正物流効率化法による2026年問題も懸念されています。本記事で取り上げる取適法は、2026年1月1日から施行されており、特定運送委託が対象業務に加えられています。
物流業界にとって2026年は、取適法の制定と改正物流効率化法によりしばらくは混乱が生じるおそれがあります。しかし、いずれの法律もサプライチェーン全体の適正化を指向するものであり、事業者を苦しめるための法律ではありません。まずは各法律の内容を把握して事業に活用しましょう。

参考:公正取引委員会「取適法の概要」

参照:政府広報オンライン「2026年1月から下請法が「取適法」に!委託取引のルールが大きく変わります」

下請法との違い

実務上、「下請法」と「取適法」は混同されがちですが、以下のようなニュアンスの違いや使い分けが存在します。

下請法(下請代金支払遅延等防止法)

昭和31年に制定された歴史ある法律です。主に「資本金の額」を基準に、親事業者と下請事業者を定義し、製造委託や修理委託などの取引を規制しています。

非常に強力な法律ですが、資本金の基準を満たさない、資本金の小さい大企業(ベンチャー等)や、新しい業態が抜け穴になることがありました。

取適法(取引適正化の枠組み)

下請法をベースにしつつ、時代の変化に合わせてその適用範囲を広げた概念です。

具体的には、2026年改正で導入される従業員数要件(資本金が小さくても従業員が多い企業は規制対象とする)や、物流(特定運送委託)への規制強化などを含みます。

つまり、下請法を時代に合わせてバージョンアップさせ、より実態に即して運用するための枠組みが取適法であると理解して差し支えありません。

これまでは「下請法の対象外」とされていた取引でも、今後は取適法の対象となる可能性が高いため、最新の知識が必要不可欠です。

参照:公正取引委員会「中小受託取引適正化法ガイドブック「下請法」は「取適法」へ~知っておきたい制度改正のポイント~」

参照:公正取引委員会「中小受託取引適正化法テキスト」

参照:e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(第二条)」

参照:政府広報オンライン「2026年1月から下請法が「取適法」に!委託取引のルールが大きく変わります」

取適法の対象取引を判断する2つの要件

取適法の対象取引を判断する2つの要件

「自社のこの取引は、法律の規制を受けるのだろうか?」このような疑問を解消するためには、漠然と考えるのではなく、法律で定められた明確な基準に照らし合わせる必要があります。

取適法の適用対象となるかどうかは、①取引の種類(内容)と、②事業者の規模(資本金・従業員数)という2つの要件を掛け合わせて判断します。

参照:e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(第二条)」

重要なのは、この2つの要件を「両方とも」満たした場合にのみ、法律が適用されるという点です。

参照:公正取引委員会「中小受託取引適正化法テキスト」

どんなに悪質な取引であっても、要件に当てはまらなければこの法律による直接的な保護や規制の対象外となってしまう(※独占禁止法など別の法律で対処する場合はあります)ため、正確な判断が求められます。

要件①:取引の種類(5つの取引類型)

まず確認すべきは、「どのような業務を委託しているか」という取引の中身です。

取適法では、規制の対象となる取引を限定列挙しています。

従来は4つの類型でしたが、物流危機への対応などを背景とした2026年の改正により、新たに1つが追加され、以下の計5種類となりました。

  • 製造委託(モノを作る仕事の委託)
  • 修理委託(モノを直す仕事の委託)
  • 情報成果物作成委託(ITやデザインなど形のない成果物の作成委託)
  • 役務提供委託(サービスの提供の委託)
  • 特定運送委託(【新設】荷主による運送の委託)

これらの定義は非常に細かく決められており、たとえば、同じモノを買う行為であっても、それが「製造委託」になる場合と、単なる「売買契約」になる場合とがあります。

参照:e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(第二条)」

参照:公正取引委員会「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準」

要件②:事業者の規模(資本金・従業員数)

取引の内容が上記の5つに該当したとしても、取引を行う二社間に経済的な力関係の差(優越的地位)がなければ、法律による介入は必要ありません。

その力の差を客観的に判断するための基準が、事業者の規模です。

基準 判断要素 備考
従来の基準 資本金の額のみ 例:資本金3億円超の会社が、資本金3億円以下の会社に発注する場合など
2026年以降の基準 資本金の額+従業員数 従業員数が新たに判断基準として追加

これにより、これまでは「資本金が少ない」という理由だけで規制を逃れていた大規模な事業者(例:持株会社形式で資本金を抑えている企業や、ファンド出資の巨大ベンチャーなど)も、従業員数が多ければ「委託事業者」として規制の対象となります。

弁護士・南 陽輔のコメント:
資本金基準と従業員基準の関係性ですが、先に資本金基準が適用され、資本金基準が満たされない場合に従業員基準が用いられることになります。つまり、資本金基準により取適法の適用がある場合には、従業員数は関係なくなりますので、この場合には従業員数の確認を省略することができます。

参考:公正取引委員会「中小受託取引適正化法ガイドブック「下請法」は「取適法」へ~知っておきたい制度改正のポイント~」

参照:公正取引委員会「中小受託取引適正化法テキスト」

参照:e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(第二条)」

参照:政府広報オンライン「2026年1月から下請法が「取適法」に!委託取引のルールが大きく変わります」

取適法の対象となる5種類の取引類型

それでは、具体的にどのような取引が対象となるのか、5つの類型について詳細に見ていきましょう。

「取適法の適用対象となる取引は?」といったような疑問を抱いている方に向けて、製造業などの物理的な商品だけでなく、近年トラブルが増加しているIT系、建築・サービス系、および注目の物流系についても、実務的な観点から深掘りします。

①製造委託とは

製造委託は、取適法の中で最も基本となり、かつ件数も多い取引類型です。自動車、電機、食品、アパレルなど、ものづくりに関わるあらゆる業界に関係します。

製造委託の具体例

業界 発注者 受注者 取引内容
自動車 自動車メーカー 部品メーカー エンジンの重要部品であるピストンの図面を引き、製造させる
流通 大手スーパーマーケット 食品加工会社 プライベートブランド(PB)の食品を企画し、レシピやパッケージデザインを指定して製造させる
アパレル アパレルブランド 縫製工場 今シーズンのデザイン画を渡し、洋服や鞄を製造させる
産業用機械 機械メーカー 金型製造業者 製品を作るための「金型」の図面を渡し、作らせる

製造委託の対象となるケース・ならないケースの判断基準

製造委託に該当するかどうかの最大の分かれ目は、仕様(スペック・デザイン・内容)を指定しているかどうか、です。

区分 判断基準 具体例
対象になる(委託) 発注者が図面、仕様書、デザイン案などを提示し、「これと同じものを作ってください」と依頼する場合。相手がその商品の専門メーカーであっても、こちらの要望(仕様)を加えて作らせるなら製造委託になる 部品メーカーに自社仕様の部品を製造させる、食品会社にPB商品を作らせるなど
対象にならない(既製品の購入) 相手がもともと規格品としてカタログに載せている商品(標準品)を、そのまま購入する場合 工場で使うための市販のネジを購入する、文房具店でボールペンを買うなど
注意が必要なケース 市販品であっても「自社のロゴを入れてほしい」など仕様を指定した場合は、製造委託(加工の委託)となり法の対象になる可能性がある 既製品のTシャツに自社ロゴの印刷を依頼するなど

参照:e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(第二条)」

参照:公正取引委員会「中小受託取引適正化法テキスト」

参照:公正取引委員会「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準」

②修理委託とは

モノが壊れたときに修理を行うことも、ビジネスの重要な一部です。事業者が「業として」請け負う修理を外注する場合などが当てはまります。

修理委託の具体例

事業者 発注者 受注者 取引内容
小売 家電量販店 メーカー認定の修理専門業者 顧客から修理依頼を受けたパソコンや冷蔵庫について、自社では対応できないため修理作業を回す
流通 自動車ディーラー 提携している板金工場 事故車の修理(板金塗装など)を委託する
製造 工場を持つメーカー 外部のメンテナンス会社 自社工場の生産ラインの設備メンテナンスや修理を委託する(※業として自社で行っている場合)

修理委託の対象となるケース・ならないケースの判断基準

区分 判断基準 具体例
対象になる 「修理をビジネスとして行っている会社(修理の請負)」が、その仕事を他社に振る場合。顧客から預かった品物を直す責任があるのに、それを他社にやらせるケース(再委託) 家電量販店が顧客から預かった製品の修理を外部業者に依頼する、ディーラーが事故車の板金を外注するなど
対象にならない 修理を業としていない一般企業が、たまたま壊れた自社の備品を直す場合(単なるサービスの利用) IT企業がオフィスのエアコンが壊れたので業者を呼んで直してもらうなど
注意が必要なケース 自社で修理部門を持っていて、そこから溢れた分を外注するような場合は対象になることがある メーカーが自社修理部門のキャパを超えた分を外部業者に委託するなど

参照:e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(第二条)」

参照:公正取引委員会「中小受託取引適正化法テキスト」

参照:公正取引委員会「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準」

③情報成果物作成委託とは

現代ビジネスにおいて最もトラブルが増えており、かつ判断が難しいのがこの類型です。物理的な「モノ」ではなく、データ、デザイン、プログラムなどの「情報」が対象です。

情報成果物作成委託の具体例

業界 発注者 受注者 取引内容
IT システム開発会社 フリーランスのエンジニア 顧客から受注したアプリ開発案件のうち、決済機能のプログラミング部分を委託する
広告 広告代理店 制作会社 クライアントのWebサイト制作にあたり、バナー作成やロゴデザインを依頼する
メディア テレビ局 映像制作会社 バラエティ番組の動画編集やテロップ入れを委託する
エンタメ ゲーム会社 イラストレーター ゲーム内に登場するキャラクターの3Dモデリングや背景イラストを描かせる
建築 建築設計事務所 個人の建築士 構造計算書や設計図面の作成を依頼する

情報成果物作成委託の対象となるケース・ならないケースの判断基準

ここでも、仕様の指定が鍵となります。

区分 判断基準 具体例
対象になる 「こういう機能を作ってほしい」「こんなテイストのデザインにしてほしい」と要望を出して作成してもらう場合。著作権が発生するかどうかに関わらず、独自の成果物を作成させるなら対象 自社仕様のシステム開発を依頼する、オリジナルのロゴデザインを発注するなど
対象にならない 市販されているパッケージソフトを購入・利用する場合。「作成委託」ではなく「物品(またはライセンス)の購入」とみなされる Microsoft OfficeやAdobe製品などを購入するなど

参照:e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(第二条)」

参照:公正取引委員会「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準」

④役務提供委託とは

役務(えきむ)とは、サービスのことを指します。物理的なモノのやり取りではなく、労務や作業の提供を委託する取引です。建設、物流、ビルメンテナンスなど幅広い業種が関係します。

役務提供委託の具体例

事業者 発注者 受注者 取引内容
不動産管理 ビル管理会社 専門の清掃業者 オーナーから請け負っているビルの清掃業務を再委託する
運送 運送会社 地域の運送業者や個人 荷主から引き受けた配送業務の一部を再委託する
イベント イベント制作会社 設営・警備・受付の専門会社 コンサート会場の設営、警備、受付業務をそれぞれ依頼する
車整備 自動車整備工場 他社 車検代行業務の一部を委託する

役務提供委託の対象となるケース・ならないケースの判断基準

最大のポイントは、再委託(又請け)であるかどうかです。

区分 判断基準 具体例
対象になる(再委託) 自社が顧客から請け負った仕事を、そのまま他社にやらせる場合 A社がB社から清掃を請け負い、その清掃をC社にやらせる。この場合、A社とC社の取引は法の対象
対象にならない(自家利用) 自社が自らのためにサービスを受ける場合。自社がサービスの「消費者(エンドユーザー)」の立場になるため、取適法の対象にはならない A社が自社オフィスの清掃をC社に頼む

参照:e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(第二条)」

参照:公正取引委員会「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準」

⑤特定運送委託とは【2026年1月1日新設】

物流業界の「2024年問題(ドライバー不足、長時間労働)」を解決するために、法改正で新しく設けられた非常に重要なカテゴリーです。これまで法律の網から漏れていた部分を強力にカバーします。

特定運送委託の具体例

これまで「役務提供委託」の一部として扱われていた運送業務委託のうち、荷主(メーカー、商社、小売業など)と運送事業者(トラック事業者など)との間の直接取引を、明確に規制対象とするための類型です。

事業者 発注者(荷主) 受注者 取引内容
飲料メーカー 飲料メーカー トラック運送会社 工場から物流センターへの商品輸送を直接依頼する
通販 大手通販サイト 配送業者 商品の宅配業務を依頼する
商社 建設資材商社 運送会社 資材置き場から現場までの輸送を発注する

特定運送委託の対象となるケース・ならないケースの判断基準

従来の「役務提供委託」では、運送会社がさらに別の運送会社に頼む「再委託」しか規制できませんでした。

そのため、一番の大元である「荷主」が無理な要求をしても、下請法で取り締まることが難しかったのです。

区分 内容 具体例
改正後の変更点 「特定運送委託」の新設により、運送事業ではない一般のメーカーや商社(荷主)が運送会社に仕事を依頼する場合も取適法の対象に メーカーや通販会社が配送業者に直接依頼するケースも規制対象
規制される行為の例 荷主による不当な行為が明確に法令違反として問われるようになる トラックを長時間待たせる(荷待ち)、燃料費高騰にもかかわらず運賃を上げないなど

参照:e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(第二条、第五条)」

参照:公正取引委員会「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準」

参考:公正取引委員会「中小受託取引適正化法ガイドブック「下請法」は「取適法」へ~知っておきたい制度改正のポイント~」

取適法の対象となる事業者の規模要件

取適法の対象となる事業者の規模要件

取引内容が上記の5つの類型のいずれかに当てはまることが確認できたら、次は、資本金と従業員数のチェックです。

この法律は、強者から弱者を守るためのものなので、取引する二社間に一定の規模格差がある場合にのみ適用されます。

資本金要件(従来からの基準)

資本金の額によって、委託事業者(規制される側)と中小受託事業者(守られる側)の関係が自動的に決まります。

製造委託・修理委託・特定運送委託の資本金基準

項目 委託事業者の資本金 中小受託事業者の資本金
大・中規模 3億円を超える 3億円以下(個人事業主含む)
中・小規模 1,000万円を超え 3億円以下 1,000万円以下(個人事業主含む)

製造委託・修理委託・特定運送委託の具体例

ケース 委託事業者 中小受託事業者 法の対象
例① メーカーA社(資本金5億円) 部品会社B社(資本金2億円) ○対象(A社が委託事業者、B社が中小受託事業者)
例② メーカーA社(資本金5億円) 会社C社(資本金4億円) ✕対象外(C社は資本金3億円超のため、対等な取引とみなされる)

情報成果物作成委託・役務提供委託の資本金基準

項目 委託事業者の資本金 中小受託事業者の資本金
大・中規模 5,000万円を超える 5,000万円以下(個人事業主含む)
中・小規模 1,000万円を超え 5,000万円以下 1,000万円以下(個人事業主含む)

参照:e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(附則第一条、第二条)」

従業員数要件【2026年1月1日新設】

これまでの法律には大きな抜け穴がありました。

「資本金は100万円しかないが、従業員が1,000人いて売上も数百億円ある」というような企業の場合、資本金基準で見ると「小規模事業者」扱いになり、どんなに下請けいじめをしても規制できなかったのです。

これを是正するために導入されたのが従業員数要件です。

新たに対象となる事業者の範囲

資本金の額に関わらず、常時使用する従業員数が一定数以上の事業者は、委託事業者とみなされるようになります。

これにより、持株会社化によって資本金を減らしている大企業や、ファンド出資している資本金の薄い巨大スタートアップ企業などが、新たに規制の対象となります。

資本金要件との関係

重要なのは、「資本金要件」または「従業員数要件」のどちらか一方でも満たせば、委託事業者になるという点です。

「うちは資本金が少ないから関係ない」という言い訳は、2026年以降は通用しなくなります。従業員が多い企業は、資本金に関係なく、下請け保護の責任を負うことになります。

弁護士・南 陽輔のコメント:
公正取引委員会が示している運用基準では、取引の相手方の従業員数について委託事業者としては確認すべき義務まではないとされています。また、もし受託事業者側が従業員数を誤って回答し、それによって取適法の適用がないと委託事業者が誤認した場合には、取適法違反があっても直ちに勧告するものではないと示されています。
もちろん取適法の適用の有無は重要ですので、委託事業者としては、相手方の従業員数を確認することは自然なことかと思いますが、相手方の賃金台帳の提出を求めたりまでは行う必要はありません。

参照:e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(附則第一条、第二条)」

参照:政府広報オンライン「2026年1月から下請法が「取適法」に!委託取引のルールが大きく変わります」

参照:公正取引委員会「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準」

自社が取適法の対象かを判断するには

自社が取適法の対象かを判断するには

ここまで見てきた複雑な条件を整理し、自社の取引が対象になるかを判断するためのステップをまとめます。

①どんな取引をしているか

まず、取引の「中身」を見ます。

  • 仕様書や図面を渡してモノを作らせていますか?(製造委託)
  • 修理を外注していますか?(修理委託)
  • プログラム、デザイン、原稿などの作成を依頼していますか?(情報成果物作成委託)
  • 請け負ったサービスを再委託していますか?(役務提供委託)
  • (荷主として)運送会社にトラックの手配を頼んでいますか?(特定運送委託)

これらが「YES」であれば、次のステップへ進みます。

②会社の規模

自社と相手先の「資本金」および「従業員数(2026年以降)」を比較します。

「自社が基準より大きく(委託事業者要件を満たす)、相手が基準より小さい(中小受託事業者要件を満たす)」という関係が成立していますか?

※例えば、自社が資本金1億円でも、相手が資本金2億円なら対象外です。逆に相手が個人事業主なら対象になる確率が非常に高くなります。

③対象だった場合

両方の条件を満たした場合、その取引は取適法の適用対象です。

この場合、契約自由の原則よりも法律が優先されます。「合意の上なら何をしてもいい」わけではありません。委託事業者には厳しい「義務」と「禁止事項」が課されます。

もし自社が委託事業者の立場であれば、直ちに契約書や支払条件を見直し、コンプライアンス体制を整える必要があります。

参照:政府広報オンライン「2026年1月から下請法が「取適法」に!委託取引のルールが大きく変わります」

参照:e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(第二条、第三条、第四条、第五条、第七条)」

2026年改正で拡大された対象取引のポイント

今回の法改正は、単なる微修正ではありません。ビジネス環境の変化に対応するための抜本的な改革です。とくに影響が大きいポイントを整理します。

特定運送委託の新設による影響

これまで「グレーゾーン」とされていた荷主(メーカーや小売店など)への規制が、ついに本格化します。

荷主企業は、トラックドライバーの待機時間を減らすための措置(予約システムの導入やパレット化など)や、適正な運賃交渉に応じることが求められます。

「運ぶのは運送会社の責任」と突き放すことができなくなり、荷主も物流の一翼を担う責任者としての自覚が必要です。

従業員数要件の追加による影響

IT業界や人材派遣業界などに多い「資本金は極端に少ないが、実態は大企業」という企業(いわゆる「資本金1000万円以下の大企業」)が、新たに委託事業者として認定されます。

こうした企業から仕事を受けているフリーランスや中小企業にとっては朗報です。

これまで泣き寝入りしていた支払遅延や買いたたきに対して、公正取引委員会への申告という強力な対抗手段を持てるようになります。

参考:公正取引委員会「中小受託取引適正化法ガイドブック「下請法」は「取適法」へ~知っておきたい制度改正のポイント~」

参照:公正取引委員会「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準」

参照:e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(附則第一条、第二条、第十二条)」

参照:政府広報オンライン「2026年1月から下請法が「取適法」に!委託取引のルールが大きく変わります」

業種別・取適法の対象取引の具体例

法律の条文だけではイメージしにくい部分もありますので、業界ごとの「よくあるシーン」に当てはめて見てみましょう。

製造業の対象取引例

取引の種類 内容 ポイント
プレス加工の委託 自動車部品メーカーが、自社の所有する金型を下請けのプレス工場に無償で貸与し、それを使って金属部品を製造させる 典型的な製造委託
パッケージ製造 お菓子メーカーが、商品名や成分表示が印刷された専用の化粧箱の製造を印刷会社に依頼する 単なる箱の購入ではなく、専用デザインの製造委託となる

IT・システム開発業の対象取引例

取引の種類 内容 ポイント
モジュール開発 大手SIer(システムインテグレーター)が、大規模システムの開発プロジェクトにおいて、在庫管理機能の部分だけを切り出して、協力会社(ソフトハウス)に開発させる 情報成果物作成委託
バグ修正 リリース後のソフトウェアに不具合が見つかり、その修正作業(プログラムの書き換え)を元の開発者であるフリーランスに依頼する 情報成果物の作成、または変更の委託

運送・物流業の対象取引例

取引の種類 内容 ポイント
繁忙期の協力会社利用 大手宅配会社が、お中元やお歳暮の時期に荷物が溢れたため、地域の赤帽や軽貨物ドライバーに配送を委託する 従来の役務提供委託
(新)工場からの出荷 家具メーカーが、完成した家具を全国の販売店に届けるため、トラック運送会社と年間契約を結んで配送を依頼する 新設される特定運送委託。荷主責任が問われる

広告・クリエイティブ業の対象取引例

取引の種類 内容 ポイント
撮影依頼 広告代理店が、パンフレット用の商品写真撮影をプロカメラマンに依頼する 写真という「コンテンツ(情報成果物)」の作成委託
原稿執筆 出版社やWebメディア運営会社が、ライターに記事の執筆を依頼する。構成案を渡して書いてもらう場合はもちろん、「テーマはお任せ」であっても、著作権等の成果物を納品させるなら対象 情報成果物作成委託

サービス業の対象取引例

取引の種類 内容 ポイント
コールセンター業務 通販会社が、顧客からの電話注文受付やクレーム対応業務を、地方のコールセンター運営会社に丸ごと委託する 役務提供委託
建設工事 元請けの建設会社(ゼネコン)が、内装工事部分を下請けの工務店に発注する 建設業法が優先適用される場合が多いが、対象外取引や物品製造等を含む場合は取適法の対象となり得る

参照:e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(第二条)」

参照:公正取引委員会「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準」

対象取引に該当した場合の注意点

対象取引に該当した場合の注意点

もし自社の取引が取適法の対象となる場合、発注者(委託事業者)には非常に厳格なルールが課されます。これらは「知らなかった」では済まされない絶対的な義務です。

委託事業者に課される4つの義務

委託事業者は、以下の4つのことを必ず実行しなければなりません。

義務項目 具体的な内容
① 発注内容等を明示する義務 発注に当たって、発注内容(給付の内容、代金の額、支払期日、支払方法)等を書面又は電子メールなどの電磁的方法により明示すること
② 書類等を作成・保存する義務 取引が完了した場合、給付内容、代金の額など、取引に関する記録を書類又は電磁的記録として作成し、2年間保存すること
③ 支払期日を定める義務 検査をするかどうかを問わず、発注した物品等を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内で支払期日を定めること
④ 遅延利息を支払う義務 支払遅延や減額等を行った場合、遅延した日数や減じた額に応じ、遅延利息(年率14.6%)を支払うこと

参考:公正取引委員会「2026年1月から「下請法」は「取適法」へ!」

参照:e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(第三条、第四条、第六条、第七条)」

参照:e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第六条第一項及び第二項の率を定める規則」

60日ルールとは?支払期日の定め方

「取適法の中でも60日ルールとは?」と疑問を抱く方もいらっしゃるでしょう。

これは、「電子記録債権やファクタリングを使用する場合にも、支払期日(最長で、発注した物品等を受領した日から起算して60日以内)までに代金満額相当の現金を得ることが困難なものは違反になる(支払遅延に該当)」という、いわば鉄の掟のようなものです。

たとえば、以下のような場合も取適法に違反することとなります。

  • 製造委託等代金の支払期日よりも後に満期日が到来する場合に中小受託事業者において割引を受ける等の行為が必要なとき
  • 中小受託事業者に受取手数料等の負担が生じるとき
弁護士・南 陽輔のコメント:
60日ルールは、「給付を受領した日」を基準に計算する必要があります。これを検収した日と誤解して計算すると、60日ルールに違反するリスクがあります。
また、取適法のもとでは、手形による支払いは禁止されることになりました。銀行振込みを含めた現金払い、ないしは本文で挙げられている電子記録債権等を利用して支払いましょう。
加えて、銀行振り込みにより支払う際の振込手数料については委託事業者の負担となり、振込手数料を差し引くことは、減額したものとして取適法違反となります。

参照:e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(第五条)」

参照:公正取引委員会「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準」

参考:公正取引委員会「トリテキ法の注意ポイント ー 代金編 ー」

禁止される11の行為

委託事業者は、たとえ中小受託事業者が「いいですよ」と同意していたとしても、以下の行為を行うこと自体が禁止されています。

これらは「みなし違反」といって、実害が出たかどうかに関わらず、行った時点で違反となってしまうのです。

禁止項目 具体的な内容
① 受領拒否 中小受託事業者に責任がないのに、発注した物品等の受領を拒否すること
② 支払遅延 支払期日までに代金を支払わないこと(支払手段として手形払等を用いること)
③ 減額 中小受託事業者に責任がないのに、発注時に決定した代金を発注後に減額すること
④ 返品 中小受託事業者に責任がないのに、発注した物品等を受領後に返品すること
⑤ 買いたたき 発注する物品・役務等に通常支払われる対価に比べ著しく低い代金を不当に定めること
⑥ 購入・利用強制 正当な理由がないのに、指定する物品や役務を強制して購入、利用させること
⑦ 報復措置 公正取引委員会、中小企業庁、事業所管省庁に違反行為を知らせたことを理由に、中小受託事業者に対して取引数量の削減・取引停止など不利益な取り扱いをすること
⑧ 有償支給原材料等の対価の早期決済 有償支給する原材料等で中小受託事業者が物品の製造等を行っている場合に、代金の支払日より早く原材料等の対価を支払わせること
⑨ 不当な経済上の利益の提供要請 自己のために、中小受託事業者に金銭や役務等を不当に提供させること
⑩ 不当な給付内容の変更、やり直し 中小受託事業者に責任がないのに、発注の取消しや発注内容の変更を行ったり、無償でやり直しや追加作業をさせること
⑪ 協議に応じない一方的な代金決定 中小受託事業者から価格協議の求めがあったにもかかわらず、協議に応じなかったり、必要な説明を行わなかったりするなど、一方的に代金を決定すること

参照:e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(第五条)」

参考:公正取引委員会「2026年1月から「下請法」は「取適法」へ!」

弁護士・南 陽輔のコメント:
上記の項目⑪協議に応じない一方的な代金決定は、今回の取適法で新しく定められたものです。物価高騰による費用負担を受託者に負わせることがないようにするためのものです。委託事業者としては、受託者の求めに応じて必要な説明もしくは情報の提供を行う必要があります。

よくある質問(FAQ)

最後に、取適法に関してよく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。

Q. 資本金がない個人事業主は対象になりますか?

A. はい、なります。

まず、委託事業者が個人事業主であっても、その事業規模(資本金額や新たに追加された従業員基準)が要件を満たせば、法の規制対象となります。

弁護士・南 陽輔のコメント:
受託者が個人事業主である場合には、フリーランス法が適用される可能性もあります。フリーランス法と取適法の双方が適用される場合には、フリーランス法が優先して適用されます。

参照:e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(第二条)」

参考:公正取引委員会「中小受託取引適正化法ガイドブック「下請法」は「取適法」へ~知っておきたい制度改正のポイント~」

Q. グループ会社間の取引も対象になりますか?

A. はい、対象になります。

取適法では、支配権(50%超の議決権)がある深い関係のグループ会社間なら、法律の規制は受けない(運用上問題とされない)とされています。

しかし、「親子会社間等の取引であっても本法の適用が除外されるものではない」とされているため、注意が必要です。

また「身内だから多少の無理はきく」という考えで、支払いを遅らせたり減額したりすることは違法です。

参照:公正取引委員会「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準」

参考:公正取引委員会「よくある質問コーナー(取適法)」

Q. 一度きりの単発取引も対象になりますか?

A. はい、対象になります。

継続的な取引(基本契約を結んでいるような取引)だけでなく、今回一回限りのスポット取引であっても、要件を満たせば対象となります。たった1回の発注であっても、4条書面(旧下請法の3条書面に相当するもの)の交付義務や、60日以内の支払義務は発生します。

参照:e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(第三条、第四条)」

Q. トンネル会社規制とは何ですか?

A. 大企業が規制を逃れるために子会社を経由させることを防ぐルールのことで、「トンネル会社規制」は、主に下請法時代に使用されていた名称になります。

参照:e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(第二条)」

参考:公正取引委員会・中小企業庁「下請代金支払遅延等防止法ガイドブック ポイント解説 下請法」

記事のまとめ

記事のまとめ

取適法は、弱い立場の事業者を守り、日本のビジネス環境全体を健全に保つための重要なルールです。

かつては「下請けいじめ」として見過ごされていた行為も、現在では明確な法令違反となり、企業の存続すら危うくする重大なリスクとなっています。

とくに2026年1月1日の改正では、「従業員数要件の導入」と「特定運送委託(荷主規制)の追加」により、その対象範囲は劇的に拡大します。

「うちは資本金が小さいから大丈夫」「運送は運送会社に任せているから関係ない」といった古い常識は、もう通用しません。

発注者となる企業は、自社の取引が法に適合しているか、契約書や支払サイトを直ちに見直す必要があります。

一方、受注者となる企業やフリーランスの方は、この法律を正しく理解することで、不当な要求に対して「それは法律違反です」と毅然と交渉する武器を手に入れることができます。

公正な取引は、巡り巡って自社の品質向上や安定供給、ひいては信頼獲得につながります。

法律を「守らなければならない面倒なルール」と捉えるのではなく、「持続可能なパートナーシップを築くための共通言語」として捉え、正しい知識を持ってビジネスに取り組んでいきましょう。

弁護士・南 陽輔のコメント:
取適法では、従業員要件と特定運送委託が加わったことで、従来の下請法よりも広い範囲の取引が適用範囲になります。取適法の適用がある取引であるのに取適法を遵守できていなかった場合には、公正取引委員会からの指導、勧告や、場合によっては罰則の適用などの強いペナルティが科されるおそれがあります。
まずは自社が行っている各取引について、取適法の適用対象となるのかをしっかりと見直すところから始めましょう。
取適法の適用があるのか判断に悩むケースが生じた場合には、弁護士などの専門家にご相談ください。

参照:e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(第二条)」

※免責事項

本記事は、作成時点の法令、ガイドライン、および公的機関の情報に基づいて作成されています。内容の正確性には万全を期しておりますが、法改正や制度変更等により、最新の情報と異なる場合があります。

また、本コンテンツは一般的な情報の提供を目的としており、法律的、税務的その他の具体的なアドバイスをするものではありません。個別具体的な事案については、必ず弁護士、税理士等の専門家にご相談ください。

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