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企業間の取引がデジタル化していく中で、受発注の作業を効率良くすることは、多くの会社にとって大事な経営の課題になっています。
電話やFAXといった昔ながらのやり方では、人が間違えたり、仕事の負担が増えたりする問題がはっきりしています。
この記事では、受発注システムの基本的なことから、発注する側と受注する側それぞれが得られる具体的なメリット、さらには導入する際の注意点まで、初めての方にもわかりやすく説明します。
2008年に弁護士登録し、大阪市内の法律事務所に勤務したのち、2021年に独立開業しました。契約書のチェックや文書作成、起業時の法的アドバイス等、予防法務を主として、インターネットを介した業務提供を行っております。皆様が利用しやすい弁護士サービスを提供できるよう心掛けております。
【目次】
受発注システムとは?これまでのやり方との違い

受発注の作業は、会社の運営にとって中心となるプロセスです。
具体的には「お客様や取引先からの注文を管理する受注の仕事」と、「原料や材料、商品などの仕入れを管理する発注の仕事」の二つの部分で成り立っています。
受発注システムは、これらの管理作業をデジタル環境に移して、効率化と自動化を実現するためのITツールです。
受発注システムの基本機能
受発注システムの機能は多岐にわたりますが、発注側からの注文内容の送信や一覧表示、受注側における注文確認メールの自動送信機能がその代表です。
さらに、今の在庫状況をリアルタイムで知るための在庫管理機能も重要です。
最近のシステムでは、納品書や請求書の自動作成機能、取引先ごとの管理機能、詳しい商品情報管理、原価管理やフランチャイズ管理といった、発注にかかるコストを最適化するのに直接役立つ機能まで備わっているものもあります。
大切なのは、受発注システムが単に紙の伝票をデジタルに置き換えるだけのツールではないという点です。
このシステムは、売上、在庫、調達コストに関する基本的な情報をリアルタイムで集める「サプライチェーン全体のデータ集積ハブ」として機能します。
このデータが一元管理されることで、これまで難しかった在庫管理の最適化や月次決算を早く終わらせることができ、市場の変化に対する会社の意思決定のスピードが飛躍的に向上するでしょう。
在庫を抱えることによる保管料等のコストを削減することも重要な課題です。
保管料等の在庫に係る費用は、当然、商品価格に反映されることになります。そうすると在庫を多く抱える事業者は同業者との価格競争で負けてしまうリスクを負うことになります。
受発注システムの導入により在庫管理が最適化されれば、在庫にかかるコスト削減につながり、その結果、より多くの受注に繋げることが可能になることが見込まれます。
受発注システムが対応できる発注業務の種類
受発注システムは、従来の物理的な商品の取引だけでなく、現代の多様なビジネスのニーズに対応するため、サービスや業務委託の発注管理にも適用範囲を広げています。
物理的商品の発注(製造業・卸売業・小売業など)
この分野は受発注システムの主な適用領域です。
製造業における原料・資材の仕入れ、卸売業・小売業における在庫補充のための商品発注などが該当します。
これらの取引では、在庫状況を正確に把握すること、適切な発注先を選ぶこと、および納期を管理することが会社の利益に直結します。
受発注システムを導入することで、これらのプロセスが効率化され、余分な在庫や品切れによる販売機会の損失のリスクを防ぐことができるでしょう。
物理的商品を扱う事業においては、物流に関する問題も意識しておいたほうが良いでしょう。
改正労働基準法による時間外労働の規制上限が2024年から物流業界にも適用されることに伴うドライバー不足などのいわゆる2024年問題に加え、物流効率化法の改正により、2026年より一定の規模以上の特定事業者に対して、荷待ちや荷物の積みおろしなどの時間短縮への取り組みが義務化されます。
こうした物流の問題から輸送コストが上昇することが見込まれますので、物理的商品を扱う事業では、より最適な在庫管理を行うことが求められることになるでしょう。
サービス・工事の発注(IT開発・デザイン・建築・コンサルなど)
サービスや工事の発注においては、物理的な商品と違い、やるべきことの定義や仕様の確定、発注後の進捗管理が複雑になりやすいという特徴があります。
受発注システムは、仕様書や見積もり書の電子的なやり取りを可能にし、プロジェクトの進み具合をリアルタイムで共有する場所として機能します。
とくに、サービス発注をシステム化することは、契約の透明性を高め、ガバナンスの強化に役立つでしょう。
IT開発やコンサルティング業務のように途中で仕様変更が頻繁に起こり得る取引において、システム上で仕様変更の履歴や進捗を管理し、納品後の検査基準を明確に定めることは、将来的なトラブルや法的なリスクを未然に防ぐ上で非常に重要です。
これにより、発注側はサービスの品質を確保し、法的な責任の所在を明確にすることができます。
協力会社・外注パートナーへの業務委託発注
協力会社への業務委託は、「成果物を完成させること」を目的とする請負契約と、「業務を遂行すること自体」を目的とする準委任契約に大きく分けられます。
受発注システムは、多様な契約形態に対応し、委託先の情報管理、報酬支払い(作業時間や進み具合に基づく)の記録をデジタルで一元化します。
また、複雑な業務委託契約においては、再委託のルールの設定、納品物が第三者の著作権や特許権を侵害した場合の保証条件など、法律的な側面を含む管理も求められます。
システム上でこれらの要件を明確に定めておくことで、トラブル時の対応がスムーズになり、発注側のリスク管理体制を強化することができるのです。
外注を行う場合には、取適法(従来の下請法)やフリーランス保護法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)にも注意する必要があります。
これらの法が適用される場合には、法が定める取引条件を記載した書面の交付義務や、支払いを60日以内に行う義務など、より厳格な法令順守が求められます。
受発注システムを導入すれば、これらの法令にも適切に対応することが可能になることが見込まれます。
受発注システム導入で得られる5つのメリット

受発注システムがもたらす効果は、単に日々の作業が効率的になるだけでなく、会社の優位性向上にもつながります。
業務時間の大幅削減
システム導入により、紙の伝票処理、手動入力、電話対応といった決まりきった繰り返し作業が自動化され、担当者の作業時間が大幅に減ります。
例えば、RPA(Robotic Process Automation:ロボットによる業務の自動化)を一緒に使うことで、FAXで受けた注文データの仕分けや入力などの定型的な作業をロボットが代わりに行い、仕事の負担をさらに減らすことが可能になります。
これにより、削減された人員や時間を、顧客対応や戦略を考えることに振り向けることができるでしょう。
ヒューマンエラーの防止とトラブル削減
システムは、決まった手順と正確なデータに基づいて処理を行うため、人が起こす転記ミス、入力ミス、聞き間違いといった人的なエラーが根本的に減ります。
システムには自動チェック機能が組み込まれており、重複した入力やデータの不一致を事前に見つけられるため、エラーが後の工程に流れることを防げます。
結果として、クレーム対応やミスの後処理にかかるコストが減り、会社の信頼性が向上するのも大きなメリットです。
発注・進捗状況のリアルタイム可視化
すべての取引情報と進捗状況がシステムにまとめられることで、経営層や関係者が受発注の状況をリアルタイムで把握することが可能になります。
とくにクラウド型のシステムは、ECモール、自社EC、卸取引など、複数の販売チャネルのデータを一括で管理できる仕様を持つため、販路拡大に伴う作業の煩雑さを軽減し、迅速な経営判断にも役立つと言えます。
データ活用による経営判断の高速化
システムに蓄積された詳細な受発注データ(売上の推移、商品ごとの実績、取引先の傾向など)は、自動でレポートとして作られ、意思決定のための客観的な根拠となります。
これにより、経験や勘に頼る属人的な判断ではなく、データに基づいた戦略的な経営戦略の立案や改善策の実行が可能になります。
このデータ活用能力は、デジタルトランスフォーメーション(DX)を成功させるために不可欠な要素です。
従来のデータ収集・集計にかかる時間を短縮し、仕入れや受注金額・内容をリアルタイムで把握できることによる月次決算の早期化を実現できます。
これにより、市場の変化に対して迅速に対応できる「機動力」が会社に備わり、競争力の強化にもつながるでしょう。
働き方改革とコスト削減の実現
業務の自動化は従業員の残業時間を減らすことに貢献し、多様な働き方の促進にも役立ちます。
同時に、発注書や請求書などの紙の管理から解放されるペーパーレス化は、印刷費、郵送費、保管コストといった間接コスト削減にも効果的です。
業務がデジタル化され標準化されることで、リモートワークやテレワーク環境への移行を実現することも可能ではないでしょうか。
【発注側】受発注システムを導入する7つのメリット
発注する側にとって、受発注システムは仕事の効率化だけでなく、調達プロセス全体を透明化し、最適化することを可能にします。
24時間365日いつでも発注・依頼が可能
従来の電話や対面取引の制約がなくなり、Web受発注システムは24時間動いているため、発注担当者は自分の会社の都合が良いタイミングで発注作業を行うことができます。
これにより、発注のタイミングを意識する必要がなくなり、仕事の負担が平準化されます。
発注履歴・進捗状況の即時確認
発注書を送った後、受注側への到着確認や進捗状況の問い合わせが不要となるため、作業時間の削減につながります。
過去の発注履歴に簡単にアクセスし、それを基に再発注できる機能によって、定期的な発注業務を大幅に効率化できるでしょう。
承認フローの電子化で意思決定が迅速に
受発注システムに電子承認機能を組み込むことで、紙ベースの承認プロセスを完全にデジタル化することが可能です。
申請から承認、記録までがオンラインで完結し、物理的な書類の移動がなくなるため、承認プロセス全体の透明性が向上します。
発注ミス・重複発注の防止
システム上で在庫状況や商品情報を確認しながら発注できるため、発注書の書き間違いや誤発注のリスクが軽減されます。
発注履歴との自動照合機能により、間違った商品の発注や重複発注が防止され、これに伴う後処理コストの削減にも効果的です。
複数拠点・複数案件の一元管理
クラウド型の受発注システムは、複数の拠点や店舗、多様な案件の発注情報を一箇所で集中管理することを可能にします。
これにより、管理の煩雑さが解消され、全社的な調達状況や在庫状況を瞬時に把握できるようになります。
この一元管理は、ガバナンスの向上と内部統制の強化に直接的に役立ちます。
各拠点や担当者が個別に管理することで起こりがちな情報の分断を防ぎ、誰が、いつ、何を、いくらで発注したかの履歴が透明化されることで、不正な調達や無駄な支出を抑制し、全社的な調達ポリシーを徹底することが可能です。
発注データの分析で調達コストを最適化
受発注データを分析することは、購買部門におけるコスト最適化の核心とも言えるのではないでしょうか。
システムに集約された過去の調達コストデータ、サプライヤー情報(リードタイム、品質評価)、市場価格の変動予測などの情報を分析することで、調達コストに関する隠れた課題を特定できます。
さらに、回帰分析などの手法を用いることで、市場価格と調達価格の関係性を深く探り、データに基づいた調達戦略の策定と実行が可能です。
ペーパーレス化によるコスト削減
発注書、納品書、請求書などの紙の書類を電子化することで、印刷費用、郵送費用、保管スペース、および管理にかかる手間といった間接コストを削減することができます。
ペーパーレス化を進めることで、印紙代の節約というコスト削減も見込むことができます。
すなわち、印紙税法の課税文書に該当する場合には、その文書に契約金額に応じた印紙を貼付する必要があります。基本的には発注書などの書面は課税文書になることはありませんが、ただ、発注書が契約書を兼ねているなど、発注書の内容が契約の成立を証明するものである場合には、課税文書に該当してしまうおそれもあります。
他方、印紙は紙の書面に対してのみ課税されるものですので、ペーパーレス化しておけば印紙税の課税リスクは回避することができ、この点でのコスト削減効果も見込まれます。
【受注側】受発注システムを導入する10のメリット
受注する側にとってのシステム導入は、単なる仕事の効率化を超え、人件費削減、お客様の満足度向上、そして売上機会の最大化につながります。
受注業務の自動化で人件費削減
注文受付、内容確認、基幹システムへの入力、確認メール送信といった一連の受注プロセスが自動化されるため、従来これらの作業に費やされていた人件費の大幅な削減が可能です。
削減された人員や時間は、より付加価値の高い顧客対応や販売促進活動に振り向けられるでしょう。
電話・FAX・メール対応からの解放
お客様からの注文がシステムにまとめられることで、煩雑な電話での注文受付や、読み取りに時間を要するFAXの処理、大量のメールからの情報検索といった非生産的な作業から担当者が解放されます。
これにより、受注担当者は本来の重要な仕事に集中できるようになるのも大きなメリットです。
入力ミス・聞き間違いによるクレーム激減
お客様自身がシステム上で発注するため、受注側での手動入力作業が不要となり、それに伴う転記ミスや聞き間違いがなくなります。
結果として誤発注や誤配送によるクレームの対応にかかる手間とコストが激減し、お客様の満足度向上に直接的に貢献します。
案件情報・仕様の一元管理で伝達ミス防止
受注した案件の情報や商品仕様がすべてシステム上で共有・一元管理されるため、複数の担当者が関わる場合でも情報伝達のミスを防止します。
情報の場所が明確になることで、社内コミュニケーションが円滑になります。
基幹システム連携で二重入力を撤廃
受発注システムと販売管理システム、会計システム、顧客管理システムといった基幹システムを連携させることは、本当の仕事の効率化のカギです。
システム連携により、受注データの手動転記や二重入力作業が完全に排除され、データ入力に伴う人的ミスも根絶できます。
連携方法としては、CSV連携の他にも、リアルタイム性の高いAPI連携があります。
顧客ごとの発注傾向分析
蓄積された受注データを分析することで、お客様ごとの購入履歴、頻度、好む商品などの発注傾向を正確に把握することができます。
この分析結果は、次に購入が見込まれる商品の提案や、単価の高いお客様への重点的な営業施策など、戦略的な営業活動に活用できるでしょう。
営業時間外の受注機会を獲得
Web受発注システムは24時間365日動いているため、発注側は受注側の営業時間外であっても発注を完了できます。
これにより、受注側は潜在的な機会損失を回避し、売上高のアップが期待できます。
問い合わせ対応工数の削減
お客様はシステム上で在庫状況や納期の目安、過去の履歴などを自分で確認できるため、「いつ届くか」「在庫があるか」といった決まりきった問い合わせが大幅に削減されます。
これにより、問い合わせ対応に割かれていた人員や時間が減ります。
リモートワーク・BCP対策に有効
クラウド型(SaaS)の受発注システムは、物理的なオフィス環境に依存せず、どこからでもアクセス可能なため、リモートワーク環境の構築に必須となります。
さらに、災害や緊急事態が発生した場合でも、クラウド上で業務データを管理・運用できるため、事業継続計画(BCP)対策としても高い有効性を持ちます。
販促施策の実施が可能
法人取引に特化したWeb受発注プラットフォームの中には、お客様の属性に基づき、取引先ごとに価格や商品、コンテンツの表示を出し分ける機能や、月の掛け売り可能な与信額を設定する機能を持つものがあります。
これにより、お客様の購入傾向に合わせたきめ細やかな販売促進策や、パーソナライズされた提案が可能になり、販売促進の向上に役立ちます。
従来の受発注手段との比較【メリット・デメリット】

ここまで受発注システムの導入効果を見てきましたが、「それでも、電話やFAXの使い慣れた方法で十分なのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、そうした従来の受発注手段が御社の成長を阻害する「隠れたリスク」を明確にすることで、デジタル化の必要性がより鮮明になります。
ここでは、従来の方法のメリット・デメリットを、受発注システムと比較してみましょう。
電話・口頭での発注
情報伝達の正確さが極めて低い点が最大の問題であり、聞き間違いによる誤発注リスクが避けられません。
履歴が担当者任せになりやすく、担当者以外が状況を把握するのが困難であるため、仕事の透明性が確保されず、必ず営業時間内の対応が求められます。
FAX発注
FAXは手書きの発注書の内容が読みにくく、受注側が間違った解釈をするリスクがあります。
紙ベースでの管理が必須となり、テレワークとの相性が非常に悪く、FAX受信後には必ず手動でのシステム入力(転記)が必要となるため、入力ミスや二重入力の原因となります。
メール・Excel(エクセル)発注
発注情報が他のメールと混ざるため、必要な情報検索に時間がかかります。
取引先によってExcel(エクセル)のバージョンやフォーマットがバラバラだと、システムへのデータ取り込み作業が複雑になります。
進捗確認や承認フローがメールに頼ることで、管理コストが高くなる傾向があります。
EDIシステム
従来のEDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)は、専用の通信ネットワークを使って企業間で取引データを電子的に交換し、高い正確さと処理速度を実現。
しかし、その構築と維持には多大なコストがかかることが一般的でした。
Web EDIはインターネットを使うことで、この専用ネットワークのコストを削減し、柔軟なデータ交換を可能にしました。
Web受発注システムは、このWeb EDIの進化した形として位置づけられます。
Web受発注システム
Web受発注システムは、高い情報伝達の正確さ、24時間対応、データの自動連携といったデジタル化のメリットを最大限に活かします。
ただし、仕事の効率化とデータ活用を両立させる一方で、導入コストと取引先を含むシステム利用の定着化に向けた協力と教育が必要となる、ということも覚えておきましょう。
【比較表】5つの受発注手段の特徴
以下の表は、各受発注手段の主要な特徴を比較したものです。
スクロールできます→
| 受発注手段 | 情報伝達精度 | 処理速度/即時性 | 導入コスト | データ活用の容易性 |
|---|---|---|---|---|
| 電話・口頭 | 低(聞き間違い多発) | 低(営業時間限定) | 非常に低い(通信費のみ) | 非常に低い(記録困難) |
| FAX | 中〜低(読取ミスリスク) | 中〜低(手動転記必要) | 低 | 低(紙データからの転記必須) |
| メール・Excel(エクセル) | 中(形式不統一リスク) | 中(検索工数大) | 低 | 中(集計に工数) |
| 従来のEDI | 高 | 高 | 非常に高(専用NW) | 高 |
| Web受発注システム | 非常に高(マスター利用) | 非常に高(自動化/24時間) | 中〜高(初期費用あり) | 非常に高(自動集計/分析) |
この表から、Web受発注システムは初期コストはかかるものの、情報伝達の正確さ、処理の速さ、データ活用の面で最も優れた選択肢であることがわかります。
受発注システム導入のデメリットと対策
受発注システムの導入は大きなメリットがありますが、スムーズに進めるためには、避けられない現実的な課題も認識しておく必要があります。
導入の途中で「こんなはずではなかった」とならないよう、初期段階で想定されるデメリットと、それを乗り越えるための具体的な対策を事前に把握しておきましょう。
初期コスト・ランニングコストの負担
どんなシステムにも共通することですが、受発注システムの導入には、初期費用や毎月の運用コスト(ランニングコスト)が必要となります。
中でも初期費用は、採用するシステム開発モデルによって大きく変動します。
どのモデルを選ぶかで費用対効果が大きく変わってくるため、まずは以下の表で、開発モデルごとのコストの目安と特徴をしっかりと確認しておきましょう。
スクロールできます→
| 導入モデル | 概要 | 初期費用目安 | 月額維持費用目安 | 適した企業 |
|---|---|---|---|---|
| クラウド型(SaaS) | 汎用パッケージを利用し、 必要に応じ機能追加やプランのアップグレード |
無料〜 | 1,000円程度〜 | 中小企業、初期投資を抑えたい企業、 迅速な導入を求める企業 |
| ハーフスクラッチ型 | 基本パッケージに固有機能を追加/カスタマイズ | 100万円〜数千万円 | 3万円〜数十万円 | 独自の商習慣を持つ中堅企業、 基幹システム連携が必須の企業 |
| フルスクラッチ型 | ゼロから完全にオリジナル開発 | 数百万円〜数億円 | 3万円〜数十万円 | 複雑な商習慣や大規模な取引がある大企業、 高度な内製化を求める企業 |
会社はこれらのコストを正確に見積もり、導入による仕事の効率化の効果と慎重に比較し、費用対効果を追求する必要があります。
取引先・協力会社への協力依頼が必要
受発注システムは、自社内だけでなく、取引先や協力会社がそのプラットフォーム上で操作を行うことを前提としているため、導入前に取引先からシステム利用に対する理解と同意を得る必要があります。
ITにあまり詳しくない取引先に対しては、操作方法の教育や導入後のサポートが必要となり、この外部協力の確保が導入フェーズにおける重要な課題となります。
取引先にとってのメリット(24時間発注可能、発注履歴の確認など)を明確に伝え、丁寧なコミュニケーションを心がけることが成功のポイントです。
システム定着までに時間がかかる
新しいシステムや仕事の流れに移行する際は、社員教育や、新しい体制に慣れるための習熟期間がどうしても必要になります。
特に従来の仕事の流れが変わることで、現場に一時的な混乱が生じる可能性は避けられません。
そのため、システムがスムーズに定着するためには、変更点や新しい操作方法の事前の共有はもちろん、継続的な意識改革とトレーニングを施すことが不可欠です。
対策として、一部の拠点や取引先から始める段階的な導入や、マニュアル整備、定期的な研修の実施が有効です。
受発注システムの選び方5つのポイント

受発注システムの導入は、単にツールを入れ替えることではなく、企業の競争力を左右する戦略的な投資と言えます。
最大限の効果を得て、導入を成功させるために、「なんとなく」で選ぶのではなく、以下の5つの重要ポイントに基づき自社の将来を見据えてシステムを選んでみてください。
ポイント①発注対象に合った機能があるか
受発注システム選びにおいて最も重要視すべきは、御社の取引内容や独自の商慣習に、システム機能が対応できるかという適合性です。
複雑な価格設定や与信管理、フランチャイズ管理など、御社固有の作業に対応できる機能セットを備えているか検証が必要です。
例えば、商品の発注が主なら在庫管理機能が、サービス発注なら仕様管理や進捗管理機能が重要になります。
標準機能だけで対応できない取引は多いため、この適合性がシステムメリットを生み出すための前提条件となります。
ポイント②基幹システム・既存ツールとの連携性
受発注システムを導入することによって本当の仕事の効率化を実現するためには、顧客管理システム、会計システム、販売管理システムといった既存の基幹システムとスムーズにデータ連携することが不可欠です。
連携によりデータ活用の効率が向上し、二重入力の撤廃を通じて費用対効果が大幅に高まります。
将来的に新たな業務システムを導入する可能性がある場合も、連携先が多く、拡張性の高いシステムを最初から選定することが望ましいです。
ポイント③カスタマイズ性と拡張性
企業間の取引の複雑性に対応するため、柔軟なカスタマイズ性を持っているかが重要な選定基準となります。
とくに、自社の固有の作業や複雑な取引内容に対応できる柔軟性は、長期的な視点から見て重要です。
カスタマイズ性と拡張性を確保することは、将来的な競争優位性を維持するための戦略的な投資です。
ビジネスが成長し、市場が変化(例:新たな販路の追加)しても、柔軟に対応できる拡張性の高いシステムを選ぶことで、大規模なシステム改修コストを抑えつつ、継続的に業務プロセスを最適化し続けることが可能となります。
ポイント④取引先・協力会社の利用しやすさ
システム導入の成功は、取引先がシステムを使いこなせるかに依存するため、取引先が使いやすい画面と操作性を備えているかを確認する必要があります。
とくに、モバイル環境(スマートフォンやタブレット)からの受発注に対応していることは、取引先の利便性を高める重要な要素です。
複雑な操作が必要なシステムでは、取引先がシステムを使わずに従来の電話やFAXに戻ってしまうリスクがあります。
直感的に操作できるUI/UXの受発注システムを選びましょう。
ポイント⑤サポート体制と導入後のフォロー
受発注システムは会社の重要なデータを管理するシステムであるため、システム提供会社による保証や、トラブル時のサポート体制が充実しているかを確認することが必須です。
豊富なBtoBのノウハウと専門知識を持つ運営会社を選ぶことで、自社の課題に合った運用方法の提案を受けられ、導入後のスムーズな定着と安心して利用できる環境が確保されます。
導入時の教育研修、操作マニュアルの提供、問い合わせ窓口の対応時間、システム障害時の対応スピードなどを事前に確認しておくことをおすすめします。
まとめ
受発注システムは、御社の業務を根本から変えるDXの第一歩です。
アナログな手間から解放され、人が起こすミスを減らすだけでなく、リモートワークも可能な堅固な業務基盤をすぐに手に入れられます。
データ分析で調達コストを抑え、24時間受注で売上アップの機会を逃しません。
御社の競争優位性を確立する戦略的な一手として、受発注システムの導入をぜひご検討ください。
受発注の過程でミスが発生した場合、顧客からのクレーム対応のみならず、損害賠償などの法的なトラブルに発展してしまうリスクがあります。受発注システムを導入すれば、人為的なミスを減らすことができ、トラブル回避につなげることができます。
また、業者へ発注する際には取適法やフリーランス保護法の適用の有無について注意する必要があり、適用される場合には適切な発注書の発行などが求められます。受発注システムの導入により、こうした法律への対応も適切に実行できることが見込まれます。
システムの導入に併せてペーパーレス化を図ることでコスト削減にもつながります。
他方で、契約は相手方のあるものですので、受発注システム導入には相手方の了承を得たうえで行うなどの配慮も必要になってくるでしょう。
自社の業態にあった適切な受発注システムの導入を検討してみてください。
本記事は、作成時点の法令、ガイドライン、および公的機関の情報に基づいて作成されています。内容の正確性には万全を期しておりますが、法改正や制度変更等により、最新の情報と異なる場合があります。
また、本コンテンツは一般的な情報の提供を目的としており、法律的、税務的その他の具体的なアドバイスをするものではありません。個別具体的な事案については、必ず弁護士、税理士等の専門家にご相談ください。
本記事の情報を利用して行われた判断やアクションによって生じた損害、およびリンク先情報の正確性等について、当社は一切の責任を負いかねます。なお、本記事の記載内容は予告なしに変更することがあります。
この記事を書いた人
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