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受発注業務のデジタル化が加速する中、クラウド型受発注システムへの注目が高まっています。
従来のFAXやメール、電話による発注業務は、転記ミスや確認漏れ、業務属人化といった課題を抱えていました。
本記事では、物理的な商品の発注だけでなく、IT開発や建設工事など協力会社へのサービス発注にも対応できる、クラウド受発注システムの選び方を徹底解説します。
自社に最適なシステムを選ぶための6つのチェックポイントを初めての方にもわかりやすくお伝えしていきます。
【目次】
クラウド型受発注システムとは

クラウド型受発注システムとは、インターネット経由で受発注業務を管理できるクラウドサービスです。
発注書の作成から送信、受注確認、納期管理、請求書発行まで、一連の業務をオンラインで完結できます。
自社サーバーの構築が不要で、初期投資を抑えながら迅速に導入できることから、中小企業から大企業まで幅広い規模の企業で採用が進んでいます。
受発注システムの基本機能
受発注システムには、業務を効率化するための様々な機能が搭載されています。
基本的な機能は以下の通りです。
発注機能では、商品やサービスの注文データを入力し、取引先に電子的に送信できます。
過去の発注履歴を参照しながら、数クリックで発注書を作成できるため、手書きやFAXと比べて大幅に時間を短縮できます。
受注機能では、取引先からの注文を一元管理し、受注状況をリアルタイムで確認できます。
在庫管理機能は、商品発注の場合にとくに重要です。
発注と連動して在庫数を自動更新し、適正在庫を維持できます。
発注点を設定しておけば、在庫が一定数を下回ったタイミングで自動的にアラートを出す機能も一般的です。
納期管理機能では、発注から納品までの進捗を可視化します。
納期遅延のリスクを早期に把握し、取引先との調整をスムーズに行えます。
請求管理機能では、発注データと連動して請求書を自動生成し、支払処理までを一括管理できます。
クラウド型とオンプレミス型の違い
受発注システムには、クラウド型とオンプレミス型の2つの提供形態があります。
それぞれの特徴を比較表で確認しましょう。
| 項目 | クラウド型 | オンプレミス型 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 低い(数万円〜) | 高い(数百万円〜) |
| 導入期間 | 短い(数日〜数週間) | 長い(数ヶ月〜) |
| 保守・運用 | ベンダーが対応 | 自社で対応が必要 |
| 拡張性 | 柔軟に変更可能 | 変更に時間とコストがかかる |
| アクセス | インターネット経由でどこからでも | 社内ネットワークからのみ |
| セキュリティ | ベンダーの対策に依存 | 自社で完全コントロール可能 |
| カスタマイズ | 制限あり | 高度なカスタマイズが可能 |
クラウド型が選ばれる理由は、初期投資の低さと導入スピードにあります。
自社でサーバーを購入・設置する必要がなく、月額料金を支払うだけで利用開始できます。
また、システムのアップデートやセキュリティパッチの適用はベンダー側が自動的に行うため、IT担当者の負担を大幅に削減できます。
テレワークや多拠点展開にも対応しやすく、場所を選ばずに業務を進められる点も大きなメリットです。
商品発注とサービス発注の違い
受発注システムを選ぶ際、自社が扱うのが「物理的な商品」なのか「サービス」なのかを明確にすることが重要です。
それぞれで必要となる機能が大きく異なります。
物理的な商品を発注する場合、在庫管理と配送管理が重視されます。
商品マスタに商品コード、規格、単価、在庫数などを登録し、発注時に在庫を引き当てる仕組みが必要です。
また、出荷指示や配送状況の追跡、入荷検品といった物流に関わる機能も欠かせません。
卸売業や小売業、製造業などで主に使われる形態です。
一方、IT開発の外注や建設工事の下請け発注など、サービスを発注する場合は、工程管理と進捗管理が中心になります。
案件やプロジェクト単位で発注を管理し、作業工数、進捗率、納期、原価と粗利を可視化する機能が求められます。
商品マスタの代わりに、「作業メニュー」「業務パッケージ」「工数単価」などを登録し、サービス内容を定義します。
具体的には、IT業界では「システム開発」「保守運用」「デザイン制作」といった作業項目を定義し、建設業界では「基礎工事」「内装工事」「設備工事」といった工程ごとに協力会社への発注を管理します。
サービス発注では、協力会社とのコミュニケーション機能や、承認フロー、検収管理といった機能も重要になります。
クラウド受発注システムを導入するメリット5つ

クラウド受発注システムの導入によって、企業は様々なメリットを享受できます。
ここでは主要な5つのメリットを詳しく解説します。
メリット1:初期費用を抑えて迅速に導入できる
クラウド型の最大の魅力は、初期投資を大幅に抑えられる点です。
オンプレミス型では数百万円から数千万円のサーバー購入費用やシステム構築費用が必要ですが、クラウド型は月額数千円から利用できる製品も多く存在します。
発注側が基本無料で利用できるプランを提供しているシステムもあり、まずは小規模から始めて段階的に拡大するアプローチが可能です。
導入期間も、オンプレミス型の数ヶ月に対し、クラウド型は数日から数週間で運用開始できます。
アカウント作成後、すぐに取引先を招待して受発注を開始できるため、業務改善の効果を早期に実感できます。
メリット2:受発注業務の効率化とミス削減
従来のFAXやメールによる受発注では、発注書の手書き作成、送信、受信側での転記入力といった多重入力が発生していました。
クラウドシステムでは、商品マスタや取引先マスタから必要な情報を選択するだけで発注書を作成でき、データは自動的に相手方のシステムに反映されます。
転記ミスや記載漏れが大幅に削減され、発注内容の確認作業も画面上で完結します。
発注履歴の検索も容易になり、「あの時の発注内容はどうだったか」といった問い合わせにも即座に対応できます。
インボイス制度や電子帳簿保存法への対応機能を備えたシステムも多く、法令遵守の負担も軽減されます。
メリット3:リアルタイムな情報共有と可視化
クラウドシステムでは、発注状況や受注状況がリアルタイムで更新されます。
営業担当者が外出先から発注状況を確認したり、複数拠点で同じデータを参照したりすることが可能です。
発注側と受注側の双方が同じ画面を見ながら情報共有できるため、「発注書を送ったはずなのに届いていない」「納期の認識が双方で異なっていた」といったコミュニケーションエラーが激減します。
ダッシュボード機能を活用すれば、月別の発注金額推移や、取引先別の発注状況、納期遅延リスクのある案件などを一目で把握でき、経営判断のスピードも向上します。
メリット4:自動アップデートで常に最新機能を利用可能
クラウドシステムでは、ベンダー側が定期的に機能追加やセキュリティアップデートを実施します。
ユーザー側は特別な作業をすることなく、常に最新バージョンのシステムを利用できます。
法改正への対応も迅速で、インボイス制度や電子帳簿保存法といった新しい規制に対しても、ベンダーがシステムを自動的にアップデートしてくれます。
オンプレミス型のように、バージョンアップのたびに数百万円の費用と長期間の作業が必要になることはありません。
新機能が追加された際も、すぐに利用できるため、業務改善のチャンスを逃しません。
メリット5:テレワーク・多拠点対応が容易
インターネット環境があれば、どこからでもシステムにアクセスできるクラウド型は、テレワークや多拠点展開に最適です。
本社、支社、工場、協力会社など、物理的に離れた場所にいるメンバーが、同じシステム上で受発注業務を進められます。
スマホやタブレットからもアクセスできるシステムが多く、現場や移動中でも発注内容の確認や承認作業が可能です。
建設現場の責任者が現場から直接資材を発注したり、営業担当者が顧客先から受注入力したりと、業務のスピードが格段に向上します。
拠点ごとに異なるシステムを使っていた企業が、クラウドシステムで統一することで、全社的なデータ活用も実現できます。
クラウド受発注システムの選び方【6ステップ】
数多くのクラウド受発注システムの中から自社に最適なものを選ぶために、以下の6つのステップで検討を進めましょう。
【STEP1】自社の発注形態を明確にする
まず、自社が扱うのが商品なのかサービスなのか、BtoBなのかBtoCなのかを明確にします。
物理的な商品を卸売・小売している企業であれば、在庫管理や配送管理機能が充実したシステムが適しています。
一方、IT開発の外注や建設工事の協力会社発注など、サービスを発注する企業の場合は、案件管理やプロジェクト管理機能、工程管理機能を重視すべきです。
BtoB取引が中心なのか、BtoC向けのEC機能も必要なのかによっても、選ぶべきシステムが変わります。
複数の発注形態が混在している企業は、汎用性の高いシステムや、カスタマイズ性に優れたシステムを検討しましょう。
【STEP2】必要な機能を洗い出す
自社の業務フローを整理し、どの機能が必須なのかをリストアップします。
以下のチェックリストを参考に、優先順位をつけていきましょう。
商品発注の場合は、商品マスタ登録、在庫管理、発注点管理、入荷検品、出荷指示、配送状況追跡といった機能が基本です。
サービス発注の場合は、案件管理、工程管理、進捗管理、原価管理、粗利計算、承認フロー、検収管理などが重要になります。
その他、取引先ごとの価格設定、見積書作成、請求書自動生成、インボイス対応、電子帳簿保存法対応、モバイル対応、承認ワークフロー、アラート通知機能なども、業務内容に応じて必要性を判断します。
「あると便利」な機能よりも、「これがないと業務が回らない」必須機能を明確にすることが、システム選定成功のポイントです。
【STEP3】既存システムとの連携性を確認する
受発注システムは単独で使うものではなく、会計ソフトや販売管理システム、ERPといった既存システムと連携させることで真価を発揮します。
発注データを会計システムに自動連携できれば、経理担当者の入力作業が不要になります。
販売管理システムと連携すれば、受注から発注、在庫管理、売上計上までがシームレスにつながります。
API連携やCSVエクスポート・インポート機能の有無、連携可能なシステムの種類を事前に確認しましょう。
とくにすでに基幹システムを導入している企業は、連携性の確認が最重要項目となります。
【STEP4】提供形態とカスタマイズ性を比較する
クラウド型の中にも、SaaS型とPaaS型があります。
SaaS型は、ベンダーが用意した標準機能をそのまま使う形態で、初期費用が安く導入が早い反面、カスタマイズには制限があります。
PaaS型は、プラットフォーム上で自社専用の機能を開発できる形態で、柔軟性が高い反面、開発コストがかかります。
自社の業務がシステムに合わせられるのか、それとも独自の業務フローをシステムに反映させる必要があるのかを見極めます。
カスタマイズが必要な場合は、追加費用や対応範囲、納期をベンダーに確認しましょう。
ノーコードでカスタマイズできるシステムもあり、IT部門の負担を抑えながら柔軟性を確保できます。
【STEP5】サポート体制とセキュリティを評価する
システム導入時の支援体制と、運用開始後のサポート体制を確認します。
初期設定の代行、マスタデータの移行支援、操作トレーニング、マニュアル提供といった導入支援があれば、スムーズな立ち上げが可能です。
運用開始後は、問い合わせ窓口の対応時間、レスポンススピード、サポート方法(電話・メール・チャット)などをチェックします。
セキュリティ面では、データの暗号化、アクセス権限管理、バックアップ体制、ISO27001認証やプライバシーマークの取得状況を確認しましょう。
取引先の機密情報を扱うシステムだけに、セキュリティ対策は妥協できません。
【STEP6】無料トライアルで使い勝手を確認する
多くのクラウドシステムは、無料トライアル期間を設けています。
実際に自社の業務フローで試してみることで、画面の見やすさ、操作のしやすさ、レスポンス速度といった使い勝手を確認できます。
トライアル期間中は、実際に使用する担当者全員に触ってもらい、現場の声を集めましょう。
「営業部門は使いやすいが、経理部門には不便」といったミスマッチを事前に発見できます。
複数のシステムを同時にトライアルして比較することで、自社に最適なシステムが明確になります。
機能一覧を見るだけではわからない実用性を、トライアルで必ず確認しましょう。
クラウド受発注システム導入時の注意点

クラウド受発注システムの導入を成功させるために、以下の3つの注意点を押さえておきましょう。
クラウド受発注システム導入前に社内体制を整備する
システム導入前に、現状の業務フローを可視化し、課題を明確にすることが重要です。
「とりあえずシステムを入れれば解決する」という考えでは、導入後に混乱を招きます。
発注プロセスの標準化を進め、誰がどのタイミングで何を承認するのか、マスタデータは誰が管理するのかといった運用ルールを事前に決めておきます。
システムを使う担当者全員に対して、操作トレーニングを実施し、不明点を解消してから本格運用を開始しましょう。
とくに取引先も巻き込む受発注システムでは、社内だけでなく取引先への説明会も必要になります。
段階的な移行計画を策定する
すべての取引先を一斉にシステムに移行させるのではなく、段階的に移行する計画を立てましょう。
まずは取引頻度の高い主要取引先から始め、運用が安定してから徐々に拡大していくアプローチが安全です。
並行稼働期間を設け、従来の方法とシステムの両方で受発注を行いながら、データの整合性を確認します。
この期間中に問題点を洗い出し、本格運用前に改善できます。
一般的には1〜3ヶ月の並行稼働期間を設けることが推奨されます。
データ移行とセキュリティ対策を行う
既存の発注データや取引先マスタをシステムに移行する際は、データのクレンジング(重複削除や表記統一)を行いましょう。
不正確なデータをそのまま移行すると、運用開始後に混乱を招きます。
アクセス権限の設定も重要です。
誰がどの情報にアクセスできるのか、誰が発注書を発行できるのか、承認権限は誰が持つのかを明確に定義します。
取引先との間でやり取りする機密情報を保護するため、二要素認証の導入やアクセスログの監視など、セキュリティ対策を徹底しましょう。
定期的なバックアップの確認と、災害時の復旧手順も事前に確認しておくことが大切です。
記事のまとめ:自社に最適なクラウド受発注システムを選ぼう
クラウド受発注システムは、初期費用を抑えながら受発注業務を効率化できる強力なツールです。
物理的な商品の発注だけでなく、IT開発や建設工事などのサービス発注にも対応できるシステムが増えており、業種を問わず導入が進んでいます。
システム選定では、自社の発注形態を明確にし、必要な機能を洗い出し、既存システムとの連携性を確認することが成功の鍵です。
自社の業種や規模、発注の特性に合ったシステムを2〜3個ピックアップし、無料トライアルで実際の使い勝手を確認しましょう。
段階的な導入計画を立て、社内体制を整えることで、スムーズな移行が実現します。
まずは主要取引先から小さく始め、成功体験を積み重ねながら拡大していくアプローチをおすすめします。
本記事は、作成時点の法令、ガイドライン、および公的機関の情報に基づいて作成されています。内容の正確性には万全を期しておりますが、法改正や制度変更等により、最新の情報と異なる場合があります。
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