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2026年1月1日から施行された中小受託取引適正化法(通称:取適法)では、従来の資本金基準に加えて、新たに「従業員数」基準が導入されました。
参照:e-Gov法令検索「製造委託などに係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延などの防止に関する法律(第二条)」
製造委託などでは「300人超」、役務提供委託などでは「100人超」という基準が設けられたことで、多くの企業担当者から「派遣社員は従業員数に含まれるのか?」という疑問が寄せられています。
本記事では、派遣社員の扱いや「常時使用する従業員」の具体的なカウント方法、判定時期などの実務ルールをわかりやすく解説します。
2008年に弁護士登録し、大阪市内の法律事務所に勤務したのち、2021年に独立開業しました。契約書のチェックや文書作成、起業時の法的アドバイス等、予防法務を主として、インターネットを介した業務提供を行っております。皆様が利用しやすい弁護士サービスを提供できるよう心掛けております。
取適法の前身である下請法は、取引関係において、発注者側の優越的地位の乱用を防ぎ、弱い立場にある受注者を保護するための法律として制定されました。下請法が想定していたモデルケースとしては、発注者が大企業、受注者が中小零細企業というものであり、そうした背景から会社の資本規模に着目した資本金基準が採用されていました。ところが、実務では、資本金がそれほど大きくない会社が発注者であっても同様に優越的な地位を乱用した不当要求などが見受けられました。取適法では、資本金基準に加えて従業員数基準が導入されたことで、より広く適用されるようになり、受注者側の保護が図られることになります。
【目次】
結論:派遣社員は従業員数に含まれない(取適法/300人・100人基準)
取適法における適用判定基準の一つである「従業員数」のカウントにおいて、派遣社員は派遣先(発注側)企業の人数には含まれません。
派遣社員がカウントされない理由
取適法における「常時使用する従業員」とは、その事業者が直接雇用し、賃金台帳の調製対象となる労働者(労働基準法第百八条などに基づくもの)の数によって算定すると規定されています。
派遣社員は派遣元企業と雇用契約を結んでおり、派遣先企業とは直接の雇用関係にありません。
そのため、派遣社員は派遣元企業の賃金台帳に記載されるべき対象であり、派遣先企業の従業員数には合算されません。
参照:e-Gov法令検索「製造委託などに係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延などの防止に関する法律(第二条)」
参照:e-Gov法令検索「労働基準法(第百八条、第百九条)」
「常時使用する従業員」の定義と直接雇用の範囲
取適法でカウント対象となる「直接雇用」の範囲は、労働基準法第九条に規定する労働者がベースとなります。
実務上は、以下の人々をカウントします。
カウント対象(直接雇用)
- 正社員
- 契約社員(有期契約含む)
- パートタイム・アルバイト(継続的な雇用関係がある場合)
これらは企業の賃金台帳に日常的に記載され、社会通念上、事業の遂行を支える「常時使用」の労働者とみなされます。
カウント対象外
- 派遣社員
- 業務委託先の人材(フリーランス・請負人)
- 委任契約に基づく外部アドバイザーなど
参照:公正取引委員会・中小企業庁「中小受託取引適正化法 テキスト」
派遣元企業と発注元(派遣先)の関係
派遣社員がどの企業の人数としてカウントされるかを整理すると、以下のとおり明確に分かれます。
- 派遣元企業(人材派遣会社):派遣社員と直接雇用契約を結んでいるため、自社の従業員数(300人または100人基準)としてカウントします。
- 派遣先企業(実際の発注側):派遣社員を直接雇用していないため、人数にはカウントしません。
したがって、発注側企業が「従業員数300人(または100人)」を超えているかどうかを判断する際は、派遣社員を除いた自社の直接雇用者数のみで判定を行います。
実務上の重要ポイント:資本金基準との関係
従業員数の多寡によって取適法の対象となるかが左右されますが、従業員基準はあくまで「資本金基準が適用されない場合」に二次的に適用されるものである点に注意が必要です。
たとえ従業員数が基準以下であっても、資本金基準で該当すれば、その取引は取適法の適用対象となります。
また、この判定は原則として「製造委託などをした時点(発注時)」の人数で行われます。
資本金基準については、従来の下請法と同様です。ただし、対象の業務には従来の製造委託、修理委託、役務提供委託のほかに、特定運送委託が追加された点に注意が必要です。取適法の適用がある場合には、60日以内の支払い義務(3条)、発注内容等の明示(4条)、取引記録の作成保存(7条)、買いたたきや不当減額などの禁止(5条)など、委託事業者としては取適法の内容を遵守しなければなりません。違反した場合には公正取引委員会から指導等を受けたり、刑事罰が科されるリスクもあります。
まずは資本金基準をもとに取適法の適用の有無をしっかりと確認するようにしましょう。
参照:e-Gov法令検索「製造委託などに係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延などの防止に関する法律(第二条)」
取適法の従業員数300人基準とは

令和8年(2026年)1月1日から施行された改正法では、従来の資本金基準のみで適用対象を判定していた仕組みから、新たに「従業員数」基準が追加されます。
参照:e-Gov法令検索「製造委託などに係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延などの防止に関する法律(第二条)」
この改正は、「資本金だけでは企業の実態や格差を反映しきれない」という問題意識から導入されました。
労務費や原材料費が急騰する中で、サプライチェーン全体で適切な価格転嫁を定着させる「構造的な価格転嫁」を実現し、従業員規模の大きな企業についても適正な取引関係を担保することを目的としています。
参照:政府広報オンライン「2026年1月から下請法が「取適法」に!委託取引のルールが大きく変わります」
改正後の従業員基準は、対象となる取引の性質ごとに次のように定められます。
- 製造委託、修理委託、特定運送委託など:委託事業者(発注側)の常時使用する従業員数が300人超
- 情報成果物作成委託、役務提供委託など(一部を除く):委託事業者(発注側)の常時使用する従業員数が100人超
たとえば、製造委託を行う企業において、資本金が3億円以下であっても従業員数が301人以上であれば、取適法上の「委託事業者」に該当し、法的な義務や禁止事項が課せられることになります。
参照:公正取引委員会・中小企業庁「中小受託取引適正化法 テキスト」
資本金基準と従業員基準の適用関係
取適法では、資本金基準と従業員基準のいずれか一方でも該当すれば対象となるため、企業は両方の基準を確認する必要があります。
法律上の建付けとしては、まず資本金基準による一次的な判定を行い、資本金基準で法の適用がない(=同規模の事業者間取引とみなされる)場合に、二次的に従業員基準による判定を行うという二段階の構造になっています。
参照:e-Gov法令検索「製造委託などに係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延などの防止に関する法律(第二条)」
参照:公正取引委員会「製造委託などに係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延などの防止に関する法律の運用基準」
たとえば、「資本金は小さいが従業員数が多い企業」から、「資本金も従業員数も少ない企業」へ発注する場合、従来の資本金基準では対象外でしたが、改正後は従業員基準によって取適法の適用対象となり、受領拒否や代金の支払遅延といった禁止行為の規制を受けることになります。
どの時点で従業員数を数えるべきか
従業員基準に該当するかどうかの判定タイミングについては、運用基準において明確に規定されています。
原則として、「製造委託などをした時点(発注した瞬間)」の常時使用する従業員数によって判断されます。
参照:公正取引委員会「製造委託などに係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延などの防止に関する法律の運用基準」
このため、発注時において基準を満たしていれば、その後に従業員数が変動して基準を下回ったとしても、その取引については引き続き取適法が適用されます。
逆に、発注時に基準を満たしていなければ、その後に従業員が増えてもその取引は対象外となります。
参照:公正取引委員会・中小企業庁「中小受託取引適正化法 テキスト」
実務上は、とくに従業員数が基準値(300人や100人)に近い取引先に対しては、見積依頼書にチェック欄を設けるなどして定期的に該当性を確認し、その結果を記録(7条書類)として残すフローの整備が推奨されます。
参照:公正取引委員会・中小企業庁「中小受託取引適正化法 テキスト」
従業員数にカウントする人・しない人

取適法における適用対象の判定は、まず確認しやすい資本金から行いますが、資本金基準が適用されない場合に二次的な基準として「常時使用する従業員の数」が設けられています。結果として、いずれか一方の基準を満たせば適用対象となります。
参照:e-Gov法令検索「製造委託などに係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延などの防止に関する法律(第二条)」
参照:公正取引委員会「製造委託などに係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延などの防止に関する法律の運用基準」
この「常時使用する従業員」とは、労働基準法第九条に規定する労働者のうち、日々雇い入れられる者(1か月を超えて引き続き使用される者を除く)以外の者を指します。
実務上は、「その事業者の賃金台帳の調製対象となる労働者」の数によって算定します。
参照:e-Gov法令検索「製造委託などに係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延などの防止に関する法律(第二条)」
参照:e-Gov法令検索「労働基準法(第九条、第百八条、第百九条)」
直接雇用(カウントするケース)
以下の人材は、企業が直接雇用し、自社の賃金台帳に記載される「自ら使用する労働者」であるため、雇用形態にかかわらずカウント対象となります。
- 正社員(無期雇用)
- 契約社員(有期契約)
- パートタイマー・アルバイト(継続的な雇用関係がある場合)
- 1か月を超えて引き続き使用される日雇労働者
参照:公正取引委員会・中小企業庁「中小受託取引適正化法 テキスト」
参照:公正取引委員会「製造委託などに係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延などの防止に関する法律の運用基準」
派遣・業務委託(カウントしないケース)
以下の人材は、発注側企業と直接の雇用契約関係(賃金台帳への記載)がないため、従業員数には含まれません。
- 派遣社員(実際に働いている「派遣先」ではなく、雇用主である「派遣元」の従業員としてカウントされます)
- 業務委託契約のフリーランス・請負人
- 委任契約に基づき働く外部人材(例:スポットコンサルタント、顧問など)
参照:公正取引委員会・中小企業庁「中小受託取引適正化法 テキスト」
参照:公正取引委員会「製造委託などに係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延などの防止に関する法律の運用基準」
判断が難しい実務ケース(出向・休職など)
「自己が使用者となる労働者」を計上するという原則に基づき、以下のとおり判断されます。
出向社員
出向元・出向先のどちらでカウントするかは、雇用契約関係の存続および賃金台帳の調製実態に基づきます。
一般的には、給与を支払い賃金台帳に記載している側の事業者がカウント対象として扱います。
参照:公正取引委員会「製造委託などに係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延などの防止に関する法律の運用基準」
長期休職・育児休業中の社員
休職中であっても、雇用契約が存続しており、労働者名簿や賃金台帳(またはそれに準ずる記録)の対象となっている限り、原則としてカウント対象に含まれます。
参照:e-Gov法令検索「労働基準法(第百七条、第百八条)」
取締役(役員)
原則として経営者(使用者)側であるためカウントしませんが、業務執行取締役などで「労働者性」が認められ、賃金台帳の対象となっている場合はカウント対象となります。
参照:公正取引委員会・中小企業庁「中小受託取引適正化法 テキスト」
実務においては、発注時点でこれらの人数が基準(300人または100人)を超えているかどうかが重要です。
とくにボーダーライン上の企業と取引する場合は、見積依頼書などを通じて相手方の従業員区分を定期的に確認し、その証跡を「7条書類」として保存しておくことが推奨されます。
公正取引委員会が示している運用基準では、取引の相手方の従業員数について委託事業者としては確認すべき義務まではないとされています。また、もし中小受託事業者側が従業員数を誤って回答し、それによって取適法の適用がないと誤認した場合には、取適法違反があっても直ちに勧告するものではないと示されています。
もちろん取適法の適用の有無は重要ですので、委託事業者としては、相手方の従業員数を確認することは当然なことかと思いますが、相手方の賃金台帳の提出を求めたりまでは行う必要はありません。
参照:e-Gov法令検索「製造委託などに係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延などの防止に関する法律(第七条)」
参照:公正取引委員会「製造委託などに係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延などの防止に関する法律の運用基準」
派遣社員を多く使う企業向け3つのポイント

派遣社員を多く活用している企業では、「従業員数」の正確な把握が取適法の適用判定において非常に重要になります。
以下のポイントを押さえておきましょう。
自社の直接雇用者数を正確に把握する
令和8年(2026年)1月から導入された従業員基準において、委託事業者は自らが「300人超(または100人超)」の区分に該当するかを正確に判定しなければなりません。
判定の根拠となる「常時使用する従業員」とは、労働基準法第九条に規定される労働者を指し、実務上は「自社の賃金台帳の調製対象となる労働者」の数で算定します。
そのため、派遣社員を多く利用する企業は、以下のプロセスで体制を整える必要があります。
直接雇用者リストの整備
労務管理システムや賃金台帳に基づき、正社員、契約社員、パート・アルバイトといった「自社が直接雇用し、給与を支払っている労働者」の数を常に最新の状態に保つ必要があります。
判定のタイミング
従業員数は日々変動しますが、法的な該否判定は原則として「製造委託などをした時点(発注時)」の人数で行われます。
参照:e-Gov法令検索「製造委託などに係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延などの防止に関する法律(第二条)」
参照:e-Gov法令検索「労働基準法(第百八条、第百九条)」
派遣契約と業務委託を明確に区別する
同じ「外部リソース」であっても、法的な位置付けによってカウントの要否が明確に異なります。
派遣社員(カウント対象外)
労働者派遣法に基づき労働力を提供する派遣社員は、派遣元企業(人材派遣会社)の賃金台帳に記載されるため、派遣先企業の従業員数には含まれません。
業務委託・フリーランス(カウント対象外)
請負契約や委任契約に基づき業務を行う外部人材も、直接雇用関係がないためカウントされません。
このように、取適法の対象となる「委託契約」の枠組みと、労働力を提供させる「派遣契約」の枠組みは性質が異なるため、混同しないよう注意が必要です。
派遣社員が多くても義務は免れない
「派遣社員は自社のカウントに含まれない」という事実は、「派遣社員をどれだけ多く使っていても、それによって委託事業者(発注側)の義務を免れるわけではない」というリスクも意味します。
たとえば、直接雇用の従業員が301人以上いれば、派遣社員が1,000人いても0人であっても、その企業は「300人超の委託事業者」に該当します。
この状態で中小企業(従業員300人以下)に対して製造委託や修理委託などを行えば、その取引には取適法が全面適用され、4条明示義務や60日以内の支払義務、さらには新設された「手形払の禁止」や「価格協議の義務」が課せられることになります。
したがって、企業は派遣社員の数ではなく、「自社の直接雇用の従業員数」が基準(300人/100人)を超えていないかを常に正確に把握し、取引ごとの適切な判断を行う体制が不可欠です。
参照:e-Gov法令検索「製造委託などに係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延などの防止に関する法律(第二条)」
参照:公正取引委員会・中小企業庁「中小受託取引適正化法 テキスト」
派遣社員の扱いでよくある勘違い

派遣社員の従業員数カウントについて、実務上よく見られる誤解をまとめました。自社の判定が正しいか、以下の勘違いに該当していないか確認してください。
勘違い①:派遣社員も含めて300人(または100人)と判断してしまう
派遣社員を自社の従業員としてカウントする企業は少なくありませんが、本法における判定基準には含まれません。
参照:e-Gov法令検索「製造委託などに係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延などの防止に関する法律(第二条)」
参照:公正取引委員会「製造委託などに係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延などの防止に関する法律の運用基準」
これは、本法が定める「常時使用する従業員」が、自社の賃金台帳の調製対象となる労働者を指しているためです。
派遣社員は派遣元企業の賃金台帳に記載されるため、派遣先(発注側)の人数には算入しません。
勘違い②:派遣元が大企業なら取適法の対象だと思ってしまう
派遣元企業(人材派遣会社)がどれほど大規模であっても、その派遣社員が派遣先企業の従業員数としてカウントされる理由にはなりません。
本法の適用は、あくまで「委託事業者(発注側)」と「中小受託事業者(受注側)」の直接の資本金または従業員規模の格差によって決まります。
参照:e-Gov法令検索「製造委託などに係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延などの防止に関する法律(第二条)」
勘違い③:派遣社員が多いと、自社の従業員数が少なく見え、取適法の対象外だと誤解してしまう
「直接雇用の正社員が少ないから自社は中小企業(300人以下)だ」と過信するのは危険です。
派遣社員を除いた「直接雇用者」が1人でも基準(301人以上など)を超えていれば、その企業は「委託事業者」としての義務を負います。
参照:e-Gov法令検索「製造委託などに係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延などの防止に関する法律(第二条)」
よくある質問(FAQ)
派遣社員の従業員数カウントについて、実務上よく寄せられる質問をまとめました。
Q1:派遣社員は何人いても従業員数に含まれませんか?
A:はい、含まれません。
派遣社員は派遣元企業の直接雇用者であり、派遣先企業の賃金台帳には載らないため、派遣先(発注側)の従業員数としてカウントすることはありません。
参照:公正取引委員会・中小企業庁「中小受託取引適正化法 テキスト」
Q2:派遣会社(派遣元企業)は取適法の対象になりますか?
A:派遣元企業が「発注者」として委託取引を行う場合、対象となる可能性があります。
派遣会社が、自社で使用するソフトウェアの作成や、自社パンフレットの印刷などを中小事業者に委託する場合、その派遣会社の従業員数(派遣社員を含む直接雇用者数)が基準を超えていれば、委託事業者としての義務が生じます。
参照:e-Gov法令検索「製造委託などに係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延などの防止に関する法律(第二条)」
Q3:従業員数は「年度平均」や「月末時点」のどちらで数えますか?
A:原則として「製造委託などをした時点(発注時)」の人数で判断します。
運用基準では、個々の取引ごとに、発注した瞬間の「常時使用する従業員の数」によって該当性を判断すると明記されています。
弁護士・南 陽輔のコメント:
運用基準では、例外的に『N-2月の賃金台帳上の労働者の数をもって、N月の「常時使用する従業員の数」とする』ことも可能であると示されています。例えば、製造委託の取引をしたのが5月であれば、原則は5月時点での「常時使用する従業員の数」によることになりますが、例外的に3月(N-2月)時点での賃金台帳によって判断することも可能です。
参照:公正取引委員会「製造委託などに係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延などの防止に関する法律の運用基準」
Q4:ちょうど300人の場合は「委託事業者」に該当しますか?
A:いいえ、該当しません。
従業員基準は「300人を超える(301人以上)」または「100人を超える(101人以上)」場合が委託事業者の条件です。
ちょうど300人の場合は「中小受託事業者(受注側)」の区分となります。
参照:e-Gov法令検索「製造委託などに係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延などの防止に関する法律(第二条)」
Q5:短時間勤務のパート社員は「0.5人」でカウントしますか?
A:いいえ、1人としてカウントするのが基本です。
本法が参照する労働基準法上の労働者であれば、勤務時間の長短にかかわらず、賃金台帳に記載される「1人の労働者」として算定します。
参照:公正取引委員会・中小企業庁「中小受託取引適正化法 テキスト」
Q6:育休・休職中の社員はカウントしますか?
A:原則としてカウントします。
休職中であっても雇用契約が存続しており、労働者名簿や賃金台帳の管理対象となっている限り、「常時使用する従業員」に含まれると解釈するのが実務上一般的です。
参照:e-Gov法令検索「労働基準法(第百七条、第百八条)」
参照:公正取引委員会「製造委託などに係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延などの防止に関する法律の運用基準」
記事のまとめ:派遣社員は従業員数に含まれず、直接雇用のみがカウント対象
2026年1月1日施行の取適法では、新たに「従業員数基準」が導入されました。
この基準において、派遣社員は派遣先企業の従業員数には含まれません。
理由は、派遣社員が派遣元企業の賃金台帳に記載される直接雇用者であるためです。
カウント対象となるのは、正社員、契約社員、パート・アルバイトなど、自社が直接雇用し賃金台帳に記載する労働者のみです。
派遣社員、業務委託のフリーランス、委任契約の外部人材は対象外となります。
判定は「発注時点」の従業員数で行われ、製造委託などは300人超、役務提供委託などは100人超が基準です。
派遣社員を多く使う企業でも、直接雇用の従業員数が基準を超えれば取適法の義務を負うため、自社の実態を正確に把握することが重要です。
従来の下請法から取適法へと変更になりましたが、その内容の変更で大きな点が、今回解説されている従業員数の基準が新たに設けられたことです。
下請法では資本金のみで適用の有無が決まっていましたので、比較的容易に適用の有無が判断できましたが、取適法で従業員数が基準として加わったことにより、適用の判断が難しくなったと言えます。パートやアルバイトは含まれますが、派遣社員は含まれません。また、原則として従業員数は取引時点での人数により判断されます。
従業員基準を満たすかどうかの判断は難しいところが多いですので、判断に悩んだときは、弁護士などの専門家にご相談ください。
本記事は、作成時点の法令、ガイドライン、および公的機関の情報に基づいて作成されています。内容の正確性には万全を期しておりますが、法改正や制度変更等により、最新の情報と異なる場合があります。
また、本コンテンツは一般的な情報の提供を目的としており、法律的、税務的その他の具体的なアドバイスをするものではありません。個別具体的な事案については、必ず弁護士、税理士等の専門家にご相談ください。
本記事の情報を利用して行われた判断やアクションによって生じた損害、およびリンク先情報の正確性等について、当社は一切の責任を負いかねます。なお、本記事の記載内容は予告なしに変更することがあります。
この記事を書いた人
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