注意事項
・本記事は公開時点の情報に基づいています。法令・制度変更等により内容が変わる可能性があるため、最新情報は公式サイト等でご確認ください。
・記事内の画像はイメージです。実際の商品・サービスとは異なる場合があります。
月末の締め作業や支払業務の最中に、取引先から届いた請求書の金額を見て「あれ、発注書と金額が合わない…」と手が止まってしまった経験はありませんか。
とくに、IT系のシステム開発や建築現場などの協力会社への発注では、作業工程の変更や追加依頼が頻発するため、書類間のズレが生じやすいものです。
発注書と請求書の金額の不一致を放置したまま支払処理を進めてしまうと、後に会計監査や税務調査で指摘を受けるだけでなく、発注側と受注側の信頼関係にもひびが入りかねません。
本記事では、発注書と請求書の金額が違っていたときにまず行うべき対処法から、角を立てずに修正を依頼するメールの書き方、さらには制度上の注意点まで、担当者が知っておくべきポイントをわかりやすく解説していきます。
【目次】
発注書と請求書の金額が違うときの対処法
発注書と請求書の金額の相違に気づいた際、焦ってすぐに取引先へ電話をかけるのは得策ではありません。まずは自社内の情報を整理し、冷静に状況を把握することから始めましょう。
今回の金額の相違が、事務的なミスなのか、それとも取引内容自体に変更があったのかを明確にすることが、スムーズな解決への第一歩となります。
これから紹介する、以下の3つの手順に沿って対応を進めてみてください。
①関連書類(見積・発注・納品書)を並べてズレを特定する
まずは、手元にある関連書類をすべてデスクに並べてみましょう。確認すべきは、以下の書類やメール(チャット)です。
| 見積書(最終版) | 取引の合意形成の出発点です。 |
|---|---|
| 発注書(注文書) | 自社が正式に依頼した内容と金額。 |
| 納品書(検収書) | 実際に提供されたモノやサービスの記録。 |
| 過去のメールやチャット | 「追加でこれもお願い」といった口頭ベースの合意が残っていないか。 |
とくにIT系や建築系のサービス発注では、途中で仕様変更(追加開発や資材の変更)が発生し、発注時の金額から変動しているケースも少なくありません。
「どのタイミングで金額が変わったのか」を突き止めることが、取引先への説明の根拠となります。
②取引先に「間違いの指摘」ではなく「確認」として連絡する
ズレの原因が特定できたら、取引先に連絡を入れます。この際、「そちらの請求書が間違っています」と決めつけるような物言いは避けるのがビジネス上のマナーです。
あくまでも、事実の確認をお願いするスタンスで接しましょう。相手側の入力ミスであればすぐに済みますし、こちら側の発注漏れであれば、教えてもらうことで自社の不備を修正できるからです。
取引先への角を立てない修正依頼メールの例文は、次の章で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
③正しい書類を再発行してもらい、古い方は適切に処理する
金額の相違が発覚し、修正が必要になった場合は、必ず「正しい金額の請求書」を再発行してもらいましょう。
手書きで修正したものをスキャンして送るような簡易的な処置は、後の証憑管理(しょうひょうかんり)においてリスクとなります。
再発行された書類を受け取ったら、古い(間違っていた)請求書は適切に処理する必要があります。
基本的には古い請求書は破棄しても問題ありませんが、各企業の会計ルールによっては「赤黒処理(一度マイナスの伝票を切る処理)」が必要な場合もあります。
再発行依頼と同時に、社内の経理担当者にも処理方法を確認しておくと安心です。
【そのまま使える】角を立てない修正依頼メールの例文
金額のズレを指摘するのは、心理的にストレスがかかる作業ですよね。ここでは、相手に不快感を与えず、かつ確実に修正をお願いするための例文を2パターン紹介します。
相手のミスが疑われる場合
取引先が請求金額を単純に打ち間違えていたり、古い見積単価で計算していたりする場合の文面です。
件名:【ご確認】請求書金額と発注内容の照合につきまして(株式会社〇〇 氏名)
株式会社△△
〇〇様いつもお世話になっております。
株式会社〇〇の(自分の氏名)でございます。先ほど受領いたしました〇月分の請求書につきまして、一点ご確認をお願いしたくご連絡いたしました。
弊社にて保管しております発注書(注文番号:12345)の金額と、
請求書の合計金額に相違があるようでございます。【発注金額】:550,000円(税込)
【請求金額】:560,000円(税込)お忙しいところ恐縮ですが、一度内訳をご照合いただけますでしょうか。
もし請求書の修正が必要な場合は、お手数ですが再発行をお願いしたく存じます。
何卒よろしくお願い申し上げます。
(自分の署名)
「確認」という言葉を使い、「(取引先の金額に)間違いがあるため〜」といった否定する言葉は使用しないのがコツです。
自社のミスだった場合
自社の発注漏れや、こちらが伝えた仕様変更が発注書に反映されていなかった場合の文面です。速やかに非を認め、お詫びした上で今後の対応を相談しましょう。
件名:【お詫び】発注書金額の誤りと請求内容のご相談(株式会社〇〇 氏名)
株式会社△△
〇〇様いつもお世話になっております。
株式会社〇〇の(自分の氏名)でございます。お送りいただいた〇月分の請求書を拝見いたしました。
弊社の発注書では〇〇円となっておりましたが、
先日の仕様変更分が反映されていない不備がございました。正しくは、お送りいただいた請求書の通り〇〇円で相違ございません。
こちらの管理不足でご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。
つきましては、弊社にて発注書を正しい金額に修正し、再発行させていただきます。
お支払いは請求書の金額通り、期日までにお手続きいたします。今後このような不手際のないよう努めてまいりますので、何卒ご容赦いただけますと幸いです。
(自分の署名)
間違っても、「確認しなかった、連絡しなかった相手(取引先)も悪い」といった内容のメールにするのは絶対にNGです。
この場合、誠心誠意、謝罪する内容にするのが適切です。
発注書と請求書の金額のズレが生じてしまう理由4選
なぜ、発注書と請求書の金額はズレてしまうのでしょうか。原因は多岐にわたりますが、よくあるパターンを知っておくことで、未然に防ぐ手立てが見えてきます。
①消費税の端数処理(切り捨て・四捨五入)のルールが違う
最も頻繁に起こるのが、円未満の端数処理による「1円単位」のズレです。円未満の端数処理は、以下の3種の処理方法があります。
- 切り捨て
- 四捨五入
- 切り上げ
自社のシステムは「切り捨て」設定なのに、取引先のシステムが「四捨五入」設定になっていると、合計金額で1円の相違が発生します。
とくにインボイス制度開始後は、消費税額の計算ルールが厳格化されており、この1円の違いが後の処理に影響を与える可能性があるため、細心の注意を払いましょう。
②発注後に発生した仕様変更や数量の変更漏れ
とくにIT系の開発案件や、協力会社への業務委託で多い原因が、発注後に発生した仕様変更や数量の変更漏れです。
当初は「Web(ウェブ)サイトの修正」として発注していたものの、作業途中で「追加機能もお願いしたい」と、口頭やチャットで依頼し、そのまま作業が完了してしまう――こんなケースに見覚えはありませんか?
このようなケースが発生すると、作業者は実態に合わせて請求しますが、事務方が発行した発注書は当初の金額のまま、というズレが発生するので注意が必要です。
③振込手数料や配送料など、経費の計上有無
「送料込」だと思っていたら別枠で請求されていた、あるいは「振込手数料は貴社負担」という事前の取り決めが書類に反映されていなかった、といったパターンも気を付けましょう。
とくに初めて取引する相手や、取引条件が曖昧なまま進行したプロジェクトで起こりやすいため、聞きにくいと思っても必ず確認を取るようにしてください。
④単純な入力ミスや、過去データの使い回し
人間が操作する以上、どうしても避けられないのが入力ミスです。
Excel(エクセル)で管理している場合、前回のデータをコピーして作成した際に、一部の単価や数量を修正し忘れるといった、いわゆるうっかりミスはよくあります。
また、Word(ワード)で請求書を作成している場合も、計算式が自動でないために合計金額の打ち間違いが発生しやすい傾向にあります。
発注書と請求書の金額のズレが生じてしまう理由を事前に把握し、同じミスが起きないように対策していきましょう。
記事のまとめ:誠実な対応で、ピンチを信頼に変えよう
発注書と請求書の金額が違うという事態は、一見すると単なるトラブルですが、丁寧に対応すれば「しっかり管理している担当者だ」という信頼を得るチャンスにもなります。
焦って犯人探しをするのではなく、まずは証拠を揃えて、取引先と協力して正解を導き出すというスタンスを忘れないでください。
正確な書類管理は、会社を法的なリスクから守るだけでなく、自分自身の仕事の質を高めることにもつながります。
本記事で紹介したメール例文や手順を参考に、今日からより確実な実務処理を目指していきましょう。
本記事は、作成時点の法令、ガイドライン、および公的機関の情報に基づいて作成されています。内容の正確性には万全を期しておりますが、法改正や制度変更等により、最新の情報と異なる場合があります。
また、本コンテンツは一般的な情報の提供を目的としており、法律的、税務的その他の具体的なアドバイスをするものではありません。個別具体的な事案については、必ず弁護士、税理士等の専門家にご相談ください。
本記事の情報を利用して行われた判断やアクションによって生じた損害、およびリンク先情報の正確性等について、当社は一切の責任を負いかねます。なお、本記事の記載内容は予告なしに変更することがあります。
この記事を書いた人
TCNBが運営する、ビジネスパーソンのための情報発信メディアです。皆様の業務効率化、最新トレンド把握、知識向上を徹底的にサポート。「困った」を解決するすぐに役立つノウハウや専門性の高いコラムを提供します。