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職場で発注書(注文書)を作成する際、「ここに押すハンコは四角い方?それとも丸い方?」と迷って手が止まってしまった経験はありませんか?
発注書は、備品や商品の購入はもちろんのこと、IT業界におけるWebサイト制作やシステム開発、建築現場における工事の依頼など、協力会社にサービスの発注を行う際にも欠かせない重要な書類です。
とくに近年は、中小受託事業者やフリーランスに対して業務を委託する機会も増えており、書類の不備がないよう正しい知識を身につけておくことが求められます。
この記事では、ハンコの種類で迷っている方に向けて、角印と丸印の根本的な違いから、実務で失敗しないための正しい押し方のマナーまで、初心者でも分かりやすく丁寧に解説していきます。
【目次】
【結論】発注書(注文書)に押すのは「角印」でOK
結論からお伝えしますと、一般的な発注書や注文書に押す印鑑は「角印(四角いハンコ)」が正解です。たとえば、
- 社内で使うボールペンなどの消耗品を発注するとき
- 社外の協力会社にシステム開発などのサービスを発注するとき
- 中小受託事業者にデザイン業務などのサービスを発注するとき など
基本的な発注の場面では角印を使用します。
発注書は、日常の業務のなかで頻繁に交わされる書類であるため、会社として「たしかに弊社が発行した書類ですよ」ということを証明できれば十分なのです。
まずは、「発注書=角印」と覚えておきましょう。
なぜ「丸印(丸いハンコ)」はNGなのか?
「丸印の方が取引先に対して丁寧なのでは?」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、日常的な発注書に丸印を押すのは、あまりおすすめできないのです。
なぜなら、丸印は会社の「実印」という非常に重要な役割を持っているからです。
丸印は、会社を設立する際に法務局へ登録した印鑑であり、法的な効力が極めて強いものです。
万が一、丸印の印影(ハンコの跡)をコピーされたり、悪用されたりすると、会社全体を巻き込む大きなトラブルに発展するリスクがあります。
そのため、会社の実印である丸印は、社長や特定の責任者が金庫などで厳重に保管していることがほとんどです。
日常的に発生する発注書の1枚1枚に、毎回金庫から丸印を出してきて押すのは、業務のスピードを著しく落とすだけでなく、セキュリティ上のリスクが高くなりますよね。
「セキュリティ問題」と「業務の効率化」という2つの視点から見ても、日常業務である発注書には丸印ではなく、角印を使うのがビジネスの基本となっています。
角印と丸印の違い早見表
「角印と丸印の使い分けは分かったけれど、具体的にそれぞれのハンコがどういう立ち位置なのか知りたい」という方のために、角印と丸印の違いを分かりやすく表にまとめました。
実務で迷ったときは、この表を思い出して全体像を把握してみてください。
| 角印(社印) | 丸印(代表者印) | |
|---|---|---|
| 形状 | 四角形 | 丸形 |
| 役割 | 会社の認印 | 会社の実印 |
| 法的効力 | 一般的 (発行元の証明程度) |
非常に強い (会社の公式な意思決定) |
| 主な用途 | 発注書、見積書、請求書、領収書など | 重要な契約書、官公庁への届出、不動産売買など |
| 保管の難易度 | 各部署の担当者が管理できるレベル | 経営層や総務部が厳重に管理 (金庫など) |
ここからは、角印と丸印の違いについて、私たちの普段の生活になぞらえてわかりやすく解説していきます。
角印はスマホの契約などに使う「認印」
角印の役割を身近な生活に例えるなら、携帯電話(スマホ)の契約や、スポーツジムの入会などに押す「個人の認印」と同じような感覚です。
宅配便の受け取りのサインほど軽くはありませんが、家や車を買うとき(実印)ほどの重さはありません。
角印は、「たしかに私(弊社)が内容を確認し、書類を作成しましたよ」という、日常的な手続きにおける証明としての役割を持っています。そのため、
- 見積書
- 納品書
- 請求書
- 発注書 など
日々の業務で大量に行き交う公式な書類には、この角印が使われます。
丸印は家を買うときに使う「実印」
一方で、丸印の役割を私たちの生活に例えるのなら、個人の「実印」と同じ感覚と考えるのが良いでしょう。
先ほどの角印の話とは異なり、実印は家や車を買うとき、あるいは銀行でローンを組むときなど、人生の「ここぞ」という重要な場面でしか使用しませんよね。
会社における丸印もまったく同じです。
丸印は、企業間で初めて取引を行う際の「基本契約書」を結ぶときや、数千万円規模の大きな取引をするとき、あるいは法務局や役所へ重要な届出をするときなどに限定して使用されます。
このように「スマホの契約(角印)」と「家を買う(丸印)」というように、ハンコが持つ重要度の違いをイメージしておくと、どの書類にどちらを押すべきか実務でも自然と判断できるようになりますよ。
失敗しない!職場で使える押し方マナー
使うべきハンコの種類が分かったところで、次は「正しい押し方のマナー」を確認していきましょう。
Excel(エクセル)やWord(ワード)のテンプレートを使って綺麗に発注書を作っても、最後のハンコの押し方が間違っていると、少し格好がつかない書類になってしまいます。
社外の人に渡す書類ですから、失礼のないように基本的なルールを押さえておきましょう。
角印を押す位置は「会社名・住所の右側」に少し被せる
発注書に角印を押す際、一番悩むのが「どこに押すか」という位置の問題です。
一般的なビジネスマナーとして、角印は書類の右上あたりに記載されている「自社の会社名や住所」の右側に押します。
このとき、重要なポイントが1つあります。それは「会社名の最後の文字に、ハンコの左側が少し被るように押す」ということです。
なぜわざわざ文字に被せるのでしょうか?それは、偽造や改ざんを防ぐためです。
もし白紙の余白部分にポツンとハンコを押してしまうと、その部分だけを切り取られたり、スキャンして別の書類に合成されたりしやすくなります。
文字と印影(赤いインク)が重なっていることで、「この紙に直接ハンコを押した」という証明になり、不正を防ぐ効果が高まるのです。
「せっかく印字した文字が読めなくなるのでは?」と心配になるかもしれませんが、少し被せる程度であれば問題ありません。文字の中心ではなく、右端の文字に少しかかるくらいを目安に押印しましょう。
かすれた・斜めになったときはどうする?
ハンコを押すとき、インクが薄くてかすれてしまったり、手が滑って斜めになってしまったりすることは、誰にでもよくある「失敗あるある」です。
まず、ハンコが少し斜めに傾いてしまった程度であれば、マナー違反にはなりませんし、法的な効力がなくなるわけでもありません。そのまま提出しても大丈夫です。
しかし、インクがかすれてしまって「会社名がまったく読めない」「印影の半分以上が欠けてしまった」という場合は、押し直しが必要です。
このとき、絶対にやってはいけないハンコの押し直し方を、以下にまとめました。
- 修正テープや修正液で消して上から押し直す
- かすれた印影の上から、もう一度ピッタリ重ねて押そうとする
これらはどちらも、書類の信頼性を損なってしまいます。
かすれてしまった場合、基本的にはExcel(エクセル)などのデータからもう一度新しい用紙を印刷し、一から押し直すのが最も確実で丁寧な対応です。
社外の協力会社へ渡す大切な書類ですから、見栄えを綺麗に整えておくのがビジネスマナーの基本となります。
ただし、外出先などで「どうしても新しい用紙を用意して一からやり直せない」という事情がある場合に限り、苦肉の策として、かすれたハンコのすぐ横の余白スペースに、もう一度綺麗に押し直すという方法もあります。
しかし、これはあくまでも非常時の対処法ですので、基本的にはハンコの押し直しはせずに、新しい用紙に再度ハンコを押すようにしましょう。
【Q&A】角印・丸印に関するよくある質問
ここからは、現場で直面しやすい角印・丸印に関する疑問について、Q&A形式でお答えします。イレギュラーな事態にも落ち着いて対応できるよう、ぜひ目を通しておいてください。
Q1.契約書には角印と丸印のどちらを使うべきですか?
A. 契約書の重要度によって使い分けますが、基本は「丸印」です。
企業間で初めて取引を開始する際に結ぶ「取引基本契約書」や、機密情報を扱う「秘密保持契約書」など、会社としての重要な約束事を取り決める契約書には、法的な証明力が強い「丸印(代表者印)」を使用するのが原則です。
ただし、すでに基本契約を結んでいる相手に対して、個別の業務についての契約書を取り交わす場合は、社内規定によっては角印で済ませることもあります。
迷ったときは、独断で決めずに法務部や上司に「この契約書は丸印と角印、どちらが必要ですか?」と確認するようにしましょう。
Q2.取引先から「丸印を押して」と言われたら?
A. 取引先の要望に合わせるか、トラブルを防ぐためにも自社のルールを説明しましょう。
基本的には発注書には角印で十分なのですが、取引先(受注側)の社内ルールが非常に厳しい場合、「発注の証拠として、丸印を押した発注書をください」と指定されるケースがごく稀にあります。
とくに、数千万円単位の高額な取引になる場合や、トラック運送業などにおける「特定運送委託」の書面を交わすような厳密な手続きが求められる業界では、より確実な証明として丸印が求められる可能性もあるでしょう。
このような要望を受けた場合は、まず自社の総務部や上司に事情を説明し、丸印の持ち出しや押印の許可をもらいましょう。
「うちの会社のルールでは日常的な発注書に丸印は出せません」という場合は、その旨を取引先に丁寧に説明し、角印でも受理してもらえるよう相談・交渉することが大切です。
記事のまとめ:発注書には迷わず「角印」を!
本記事では、以下のように、発注書に押す印鑑の種類とマナーについて解説しました。
- 一般的な発注書には「角印」が正解
- 丸印は重要な契約書に使う「実印」のような立ち位置
- 角印は会社名に少し被せて押すのがマナー
基本的には、普段の書類には角印を使えば間違いありません。
また、最近は画像データの「電子印鑑」や、クラウド上の電子契約システムを導入する企業も増えています。自社や協力会社のルール、時代の流れなどに柔軟に対応しながら、効率的でミスのない発注業務を目指しましょう。
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この記事を書いた人
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