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契約の基本の流れを図解でわかりやすく解説|起案から締結・保管まで


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・本記事は公開時点の情報に基づいています。法令・制度変更等により内容が変わる可能性があるため、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

・記事内の画像はイメージです。実際の商品・サービスとは異なる場合があります。

企業間の取引において、契約は非常に重要な手続きです。

しかし、初めて契約を担当するとなると、どのような手順で進めればよいのか戸惑うことも多いのではないでしょうか。

この記事では、契約の起案から締結、そして保管までの基本の流れをわかりやすく解説します。

物理的な商品の発注だけでなく、IT系や建築系などでよくある協力会社へのサービス発注時にも役立つ知識です。

正しい手順を理解して、スムーズで安全な取引を進めましょう。

弁護士・南 陽輔のコメント:
契約は、どの業種においても必ず関わるものと言えるでしょう。法律的には、当事者同士の意思の合致があれば契約が成立します。しかし、実務においては、その契約に至るプロセスや「契約の内容」など、注意すべき点が多々あります。
業種ごとに固有の留意点もありますが、すべての契約に共通する基本原則も存在します。本記事では、契約全般に通じる大切な基本がわかりやすく紹介されていますので、ぜひチェックしてみてください。

ひと目でわかる!契約手続きの全体図

契約手続きを進めるにあたって、いくつかの重要な工程があります。

とくに、初めて契約実務をおこなう場合は、全体の流れをあらかじめ把握しておくことが重要です。

まずは、契約完了までの基本的なステップを以下の図で確認しましょう。

契約手続きの全体図①

契約手続きの全体図②

このように、契約の手続きは大きく5つの工程に分かれます。

一見するとシンプルに見えるかもしれませんが、どのステップを飛ばしても後々のトラブルにつながる可能性があるので、細心の注意が必要です。

とくに、中小受託事業者への発注などでは、法律に基づいた対応が求められることも少なくありません。

次の見出しから、それぞれの工程で具体的にどのような作業が発生するのか、順番に詳しく見ていきましょう。

契約完了までの5つの流れ

契約完了までの5つの流れ

ここからは、契約完了までの具体的な流れを5つに分けて詳しく解説していきます。
それぞれの工程で注意すべきポイントや、実務でよく使われる手法についても触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。

①条件のすり合わせ(交渉・合意)

まずは、取引先と取引の条件についてすり合わせをおこないます。商品の売買であれば品物やその単価、数量が中心となります。

一方で、ITシステム開発や建築工事などのように、中小受託事業者に対してサービスの発注をおこなう場合は、業務の範囲や成果物の定義、納品スケジュールなどを詳細に決める必要があります。

あとから認識のズレが生じないよう、この段階ですべての条件を明確にしておくことが大切です。

②契約書の作成(ドラフト起案)

条件がまとまったら、一度契約書の案(いわゆるドラフト)を作成します。

通常は、自社または取引先のどちらかがベースとなる雛形を用意し、Word(ワード)などの文書作成ソフトで契約書の内容を編集します。

ドラフトが完成したら、社内で確認するだけでなく、取引先にも送付してお互いに修正を重ねながら内容を固めていくのが一般的です。

③社内の確認・承認(法務審査・稟議)

お互いの合意が取れたドラフトは、正式に締結する前に自社のなかで今一度確認をおこないます。

法務部門がある場合は、自社にとって不当に不利な条件が含まれていないか、法的なリスクがないかを審査していくことも必要不可欠です。

また、決裁権限をもつ上司や役員から承認(稟議)を得ることもお忘れなく。

審査には時間がかかることがあるため、スケジュールには余裕をもたせておきましょう。

弁護士・南 陽輔のコメント:
契約の内容が、会社の重要資産の売却や利益相反取引に該当する場合、取締役会や株主総会の決議といった会社法上の手続きが必要になることがあります。また、法律だけでなく、社内規則によって「一定金額以上の契約には役員承認が必要」と定められていることも多いでしょう。 契約を進める前には、社内の稟議(りんぎ)プロセスを精査し、どの役職や部局の承認を得るべきかをしっかりと確認することが、トラブルを防ぐための第一歩です。

④契約の締結(製本・押印・署名)

社内の承認が下りたら、いよいよ契約の締結(ていけつ)です。

紙の契約書の場合は、契約書を2部印刷して製本し、双方の責任者が署名および押印をおこないます。

双方が1部ずつ保管することで、契約が正式に成立したことを証明します。

近年では、Web上などのシステムで手続きが完結する電子契約を利用する企業も増えており、その場合はシステム上で電子署名を付与します。

⑤締結後の保管と期限管理

契約は締結して終わりではありません。

締結後の契約書は、法律や社内規定にしたがって適切に保管する必要があります。

また、契約には有効期限が定められていることが多いため、更新時期や終了時期を見落とさないよう、Excel(エクセル)などの表計算ソフトや契約管理システムを用いて期限を管理してください。

弁護士・南 陽輔のコメント:
取適法やフリーランス保護法の適用のある取引では、発注者は受注者に対して、契約時までに業務の内容や代金額、支払期日などの法令の要件を記載した書面、ないしは電子メールなどによる電磁的記録を交付する義務があります。これを遵守しなかった場合には公正取引委員会等からの指導や勧告、さらにはペナルティの対象となりかねません。
契約締結を進めるに際しては、こうした法令との適合性についても意識するようにしましょう。

【表で比較】紙の契約書と電子契約の違いを解説

現在、契約の締結方法には「紙の契約書」と「電子契約」の2種類が広く利用されています。

以下の表に書かれているように、それぞれの特徴やメリットを理解し、自社の状況や取引先の要望に合わせて適切な方法を選ぶことが大切です。

比較項目 紙の契約書 電子契約
媒体 電子データ(PDFなど)
締結方法 署名・押印 電子署名・タイムスタンプ
業務効率 印刷・製本・郵送の手間がかかる クラウド上で完結するためスムーズ
コスト 印刷代・郵送費・印紙代がかかる システム利用料がかかる(印紙代は不要)
保管場所 キャビネットや倉庫 クラウド上や自社サーバーのなか

①紙の契約書:印刷・製本・郵送・押印

紙の契約書は、昔から使われている方法です。

契約書を印刷し、製本したうえで、双方が実印などのハンコを押印します。

郵送でやり取りをおこなうため、契約完了までに数日〜数週間かかることがあります。

また、契約金額によっては収入印紙を貼付する必要があり、印刷費や郵送費などのコストも発生します。

②電子契約:クラウド上で完結

電子契約は、インターネット上のクラウドサービスなどを利用して契約を締結する方法です。

契約書のデータをシステムにアップロードし、電子署名をおこなうことで法的な効力をもちます。

郵送の手間が省けるため、最短で当日のうちに契約を締結できるのが大きなメリットです。

また、電子データでのやり取りとなるため印紙税が不要となり、コスト削減やペーパーレス化にもつながります。

弁護士・南 陽輔のコメント:
印紙税の要否は大事なポイントです。印紙税法では、第1号から第20号までの課税文書を定めていて、当該契約が課税文書に該当する場合には、契約金額に相応する印紙を契約書に貼付する必要があります。課税文書には、例えば土地の売買契約書、運送委託契約書、請負契約書などが挙げられます。印紙が貼付されていなかった場合には過怠税が課されます。
ただし、印紙税が課されるのは、紙で作成した契約書です。課税文書に該当する契約であっても、電子契約で締結した場合には、課税されません。そのため、印紙税のリスクを下げるためには、電子契約を活用した方が良いと言えます。

契約業務でつまずきやすい3つのポイント

契約業務でつまずきやすい3つのポイント

契約業務は、一つひとつの手順を正確に進める必要があります。

しかし、実務の現場では、思わぬところでミスが発生し、トラブルに発展してしまうことも少なくありません。

ここでは、とくに初心者が実務でつまずきやすい3つのポイントとその対策について解説します。

①法務の審査を通さずに話を進めてしまう

もっとも危険なのが、法務部門の審査や適切な社内の決裁を経ずに、現場の担当者だけで契約を進めてしまうことです。

相手方から提示された契約書にそのままサインしてしまうと、あとから自社に不利な条件が含まれていたことに気づいても取り返しがつきません。

中小受託事業者との契約においても、中小受託取引適正化法(通称:取適法)などの法令を遵守するため、必ず法務の確認を経てから合意するようにしましょう。

※取適法に対応した契約書の作成方法について、以下の記事にて詳しく解説しております。ぜひあわせてご覧ください。

取適法対応の契約書作成ガイド|条項例・チェックリスト・改定ポイント

②どれが最新のファイルか分からなくなる

契約書の作成段階(ドラフトなど)では、双方が電子ファイルをやり取りして修正を繰り返すことが多いです。

その結果、「どれが最終的な最新のファイルか分からない」といった事態に陥ることがあります。

ファイル名に日付やバージョン番号(たとえば「20260701_v2」など)を付けるなど、ルールを明確にしておくことが重要です。

③紙の契約書における「製本・ハンコ」のルールを間違える

紙の契約書を扱う場合、製本の方法やハンコの種類(実印・銀行印・角印など)、さらには契印(割印)の押し方など、独自のルールが存在します。

とくに複数ページにわたる契約書では、ページの間に契印を押すか、製本テープでまとめてテープと紙の境目に押印する必要があります。

これらの手順を間違えると、契約書の有効性が疑われる可能性があるため、あらかじめ正しい方法を確認しておいてください。

※書類に使用する角印・丸印などの印鑑については、以下の記事で詳しく解説しております。ぜひあわせてご覧ください。

発注書は角印と丸印のどちらを押すべき?正解と失敗しない押し方を解説

記事のまとめ:契約の基本の流れを把握してスムーズな取引を目指しましょう

記事のまとめ:契約の基本の流れを把握してスムーズな取引を目指しましょう

本記事では、契約の起案から締結、保管までの基本の流れについて解説しました。

条件のすり合わせから法務審査、締結までの各工程を正確に踏むことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

また、ITや建築業界などでのサービス発注においても、適切な手順での契約が欠かせません。

紙の契約書と電子契約の違いや、実務での注意点もしっかりと押さえ、安全でスムーズな取引を実現していきましょう。

弁護士・南 陽輔のコメント:
契約実務を円滑に進めるには、全契約に共通する「基本」の理解が欠かせません。その上で、下請法やフリーランス保護法といった「関連法令の遵守」、コストやリスクを抑える「電子契約の活用」、そして「社内の稟議・決裁手続きの確認」という多角的な視点を持つことが重要です。まずは自社の契約フローに潜むリスクを洗い出し、法的に正しく、かつスムーズな契約締結を目指しましょう。
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この記事を書いた人

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