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請求書と支払通知書の違いとは?使い分け方をケース別に解説【比較表付き】


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・本記事は公開時点の情報に基づいています。法令・制度変更等により内容が変わる可能性があるため、最新情報は公式サイト等でご確認ください。

・記事内の画像はイメージです。実際の商品・サービスとは異なる場合があります。

ビジネスにおいて、お金の請求と支払いの確認は、円滑な取引を継続する上で非常に大切なことです。

しかし、経理の実務において「請求書」と「支払通知書」のどちらを優先すべきか、あるいは両方必要なのかと迷う場面は少なくありません。

とくに、IT業界や建設業界など、サービスや労務の提供が複雑に絡む現場では、独自の慣習があることも多いものです。

この記事では、初心者の方にもわかりやすく、請求書と支払通知書の違いと実務での使い分けを徹底解説します。

弁護士・南 陽輔のコメント:
法令上は、請求書・支払通知書のいずれも発行すべき明確な義務が定められているものではありません。ただし、請求書や支払通知書がないと明細や振込先が分からないとか、仕入税額控除が受けられないなどの支障が生じる恐れがあります。そのため、実務上では請求書や支払通知書が作成されることが多いです。
他方で請求書と支払通知書の双方が存在してしまうと、その間に齟齬がないかなどの確認が必要になってしまったり、双方を保存しておかなければならないなどの手間も生じかねません。
取引相手との円滑な関係性を築くためにも、請求書、支払通知書のいずれを作ったほうがよいのか、事案に応じて判断していきましょう。

【結論】請求書は「受け取る側」、支払通知書は「支払う側」が発行する

請求書と支払通知書は、どちらも「取引内容と金額を証明する」という点では共通していますが、誰がどのような意図で作成するのかという「どちらの立場の人が書類を作るのか」という点が全く異なります

一般的に、代金を請求する側が作成するのが請求書であり、代金を支払う側が「これだけの金額を支払います」と宣言するのが支払通知書です。

物理的な商品の販売だけでなく、IT系のシステム開発における中小受託事業者への報酬支払いや、建設現場での常用(じょうよう)単価に基づく精算など、サービス提供の現場でも支払通知書は活用されています。

先述した「どちらの立場の人が書類を作るのか」を今一度整理することで、事務作業の重複や認識の相違を防ぐことができます。

【比較表】請求書と支払通知書の違い

請求書と支払通知書の違いを、以下の通り表にしてまとめました。ぜひ現在の状況と照らし合わせながら確認してみてください。

請求書 支払通知書
発行者 売り手(代金を受け取る側) 買い手(代金を支払う側)
目的 代金の請求、支払い依頼 支払内容の通知、金額の確定
発行タイミング 納品完了・サービス提供後 検収完了・支払金額の確定後
主な用途 全業種一般的 IT・建設・製造業など

原則として両方を発行する必要はない

実務上、一つの取引に対して、請求書と支払通知書の両方を必ず発行しなければならないという法律上の決まりはありません。

請求書と支払通知書の両方が混在すると、二重支払いや会計処理の混乱を招くリスクもあるため、現状をよく確認しておきましょう。

また、お金を払う側が「今月の作業分は〇〇円ですね」と支払通知書を送り、受け取る側が「その通りです」と確認するだけで取引を完了とする、といったルールを決めておけば、請求書を送る手間をまるごとカットすることもできます

弁護士・南 陽輔のコメント:
請求書や支払通知書を発行するのは、納品と同時か完了後であることが多いでしょう。できれば契約締結から納品までの間に、どちらが請求書・支払通知書を作成するのか、確認しておいたほうが良いでしょう。
なお、取適法(従来の下請法)やフリーランス新法の適用のある取引では、代金支払いに関して60日以内に行わなければならないという、いわゆる60日ルールの適用があります。受注者が請求書を出さなかったとしても、それは正当な理由には当たらず、60日ルール違反になりかねません。そうした事態を避けるためにも、納品までの間に協議しておいたほうがよいでしょう。

【ケース別に解説】請求書と支払通知書の違いに迷った時の実務ガイド

【ケース別に解説】請求書と支払通知書の違いに迷った時の実務ガイド

書類の使い分けに迷った際は、「自分が今どの立場にいるか」と「業界の慣習」を照らし合わせるのが近道です。

本章では、以下の3つの具体的なケースを例に出し、請求書と支払通知書の違いに迷った時の整理の仕方を解説していきます。

ケース①自社がサービスを提供し、支払いを受ける場合

自社が仕事を請け負った受注側(お金をもらう側)の立場であれば、基本的には請求書を発行します

流れとしては、Word(ワード)や専用のソフトを用いて、

  • 提供したサービスの内容
  • 単価
  • 時間(工数)
  • 消費税 など

を請求書に明記し、納品が完了したら発注側(お金を払う側、取引先)に送付します。

これは、代金の受け取り方として最もポピュラーな考え方といえるでしょう。

弁護士・南 陽輔のコメント:
請求書を紙媒体で発行する場合には、印紙についても注意しておいてください。通常の請求書であれば課税文書には該当しませんので印紙は不要ですが、請求書が領収書を兼ねる場合には、領収書としての印紙の貼付が必要になります。印紙の額については記載金額5万円以上で印紙200円、100万円を超え200万円以下で印紙400円など、金額に応じて違いがあります。
現金を受け取るのと引き換えに「請求書兼領収書」などの書類を渡す場合には印紙が必要になることがあります。
ただし、印紙は紙媒体の文書にのみ課税されるものですので、電子データで発行する場合には印紙の心配はありません。

ケース②自社がサービスを受け、支払いを行う場合

自社が仕事を依頼した発注側(お金を払う側)の立場であれば、通常は相手からの請求書を待ちますが、自社主導で支払通知書を発行する場合もあります。

なぜなら、自社の協力会社が多い場合、各社からバラバラな形式で届く請求書を一つずつ処理するよりも、自社から統一したフォーマットの支払通知書を送付した方が、振込ミスを防ぎ、経理効率を格段に向上させることができるからです。
さらに、取適法やフリーランス新法で定められた期日内の支払いを確実に行い、遅延を防ぐためにも有効な対策となります。

ケース③取引先から「支払通知書」が送られてきた場合

仕事を終えた後に、取引先(発注側)から支払通知書が届くことがあります。これは「こちらの集計では、今回の支払額はこの通りです」という確認の連絡です。

この場合、まずは自分の手元の計算と相違がないかを確認しましょう。

内容に間違いがなければ、その通知書を取引の記録として保管します。

あわせて、改めてこちらから請求書を送るルールになっているのか、それとも通知書だけで手続きが完結するのかを、取引先に確認しておくと安心です。

インボイス制度と請求書・支払通知書の関係

2023年10月から開始されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)により、書類の取り扱いにはより慎重な対応が求められるようになりました。

仕入税額控除を受けるためには、原則として適格請求書(インボイス)の保存が必要です。

じつは、支払通知書であっても、インボイスの必要項目(登録番号や税率ごとの消費税額など)を満たしていれば、適格請求書として認められます

これを専門用語で仕入明細書と呼びます。

ただし、買い手側が作成した支払通知書をインボイスとして成立させるには、発行後に売り手側の確認(承認)を得ていることが必須条件となります。

メールでの「内容に相違ありません」という返信や、Webシステム上での承認ボタンなどがこれに該当します。

弁護士・南 陽輔のコメント:
インボイス制度との関係では、税率の記載などのインボイス必要項目の記載漏れがないかを確認するようにしてください。また、1円未満の端数処理に関して、「1インボイスあたり税率ごとにそれぞれ1回」というルールもあります。明細ごとの端数処理はNGとされています。

電子帳簿保存法と請求書・支払通知書の関係

電子帳簿保存法により、請求書や支払通知書を電子データでやり取りした場合、そのデータを一定のルールに従って保存することが義務付けられています。

たとえば、Excel(エクセル)で作成した支払通知書をPDF化してメールで送付したり、Webサイトからダウンロード形式で提供したりする場合、それは「電子取引」に該当します。

紙に印刷して保存するだけでは不十分であり、検索性の確保や改ざん防止措置を講じた上で、デジタルデータのまま保管しなければなりません

IT企業のパートナーとして活動する中小受託事業者や、特定運送委託を受ける個人事業主であっても、この法律の対象となるため、保存用ストレージの確保など適切な準備が必要です。

請求書と支払通知書の違いにまつわるQ&A

ここでは、請求書と支払通知書の違いにまつわるよくある質問について、Q&A方式でお答えします。

Q.支払通知書を受け取ったのに、誤って請求書も発行してしまったら?

A:速やかに先方の担当者へ連絡し、どちらの書類を正しいものとするか相談してください。

二重に発行されると、先方のシステムで二重払いのエラーが起きたり、税務調査で不備を指摘されたりする恐れがあります。

通常は、先方の「支払通知書」に合わせる形で自社の請求書を取り下げるか、自社の「請求書」を優先して支払通知書を破棄してもらうかのどちらかになります。

Q.支払通知書の金額と、自社の認識が合わない場合は?

A:入金日を待たず、すぐに詳細を照会してください。

とくに、追加改修が発生した案件や、端数処理のルールが異なる場合に発生しやすいトラブルです。

支払通知書には有効期限や異議申し立ての期間が定められていることがあるため、早急に確認してください。

Q.支払通知書をメール送付する際の件名・本文の書き方は?

A:一目で内容がわかる件名を心がけましょう。

例:「【重要】202X年〇月分 支払通知書のご送付(株式会社〇〇)」

本文には、対象となる取引月、合計金額、確認後の連絡期限などを簡潔に記載します。また、インボイス制度に対応している旨(相手方のインボイス登録番号を記載していることなど)を添えると親切です。

記事のまとめ:取引の立場を整理して請求書と支払通知書を正しく使い分けましょう

記事のまとめ:取引の立場を整理して請求書と支払通知書を正しく使い分けましょう

請求書と支払通知書は、一見すると似たような書類ですが、その役割と発行する立場は明確に異なります。

請求書は「もらう側」の権利行使であり、支払通知書は「払う側」の意思表示です。

昨今のインボイス制度や電子帳簿保存法への対応を考えると、これらの書類をデジタル化し、適切に管理することはもはや必須と言えます。

とくに、IT案件や建築、特定運送委託などの複雑な現場では、どちらの書類をベースにするかを事前に取引先と合意しておくことが、トラブル回避の第一歩となります。

自社の立場(お金をもらう側か払う側か)を整理し、今回ご紹介した比較表やケース別ガイドを参考に、正確かつスムーズな経理実務を目指しましょう。

弁護士・南 陽輔のコメント:
請求書と支払通知書について、どちらが発行すべきかなどの法律上の定めはありません。定めがないために判断が難しいという面はありますが、取引相手とコミュニケーションを取って、いずれが発行するかを決めるようにしましょう。
また、請求書が領収書を兼ねる場合には印紙が必要であったり、請求書や支払通知書に、仕入税額控除を受けるために必要な要素が記載されているかなど、注意するべき点があります。
記載漏れのない有効な請求書・支払通知書を作成するようにしてください。

参考:国税庁「適格請求書等保存方式の概要」

参考:国税庁「電子帳簿保存法の概要」

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本記事は、作成時点の法令、ガイドライン、および公的機関の情報に基づいて作成されています。内容の正確性には万全を期しておりますが、法改正や制度変更等により、最新の情報と異なる場合があります。

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この記事を書いた人

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